8日に開幕したKリーグ(韓国)やブンデスリーガなど欧州各国のリーグでは、再開の条件として、全選手に対してPCR検査を実施しています。一方、Jリーグでは今のところ、国民のための検査体制が十分に整う前に、特別にPCR検査を受けることはできないという認識をもって、全選手のPCR検査は実施しない予定です。
いわゆる「免疫パスポート」がなくとも、リーグを再開して大丈夫なのでしょうか?
第5回 Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録より、安心安全にサッカーができる可能性をひもといてみましょう。
少しでも早く新型コロナウイルスが収束し、子どもたちが安心してサッカーができるようになることを願います。
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免疫パスポートは必要⁉
徹底した行動管理や健康管理が、選手が健康であることを証明する
現在、PCRや抗原検査は、新型コロナウイルスの感染が疑われる人や濃厚接触者等に限っておこなわれる検査であるため、健康なサッカー選手が受けることはできません。過去に罹っていたかどうかを判断する抗体検査についても精度に課題があるため、Jリーグでは「免疫パスポート」に頼らず、2週間の行動管理と健康管理をもって健康であることの根拠とする方針です。
今後検査体制が整ってくれば、検査と行動・健康管理の両輪により、高い安全性が証明されるようになるでしょう。
Q:選手を対象にしたPCR検査や抗体検査についての進捗と、練習方法などについて感染予防のガイドラインを作るとおっしゃっていた件もどのような進捗になっているか、アップデートをお聞かせください。
A:藤村特命担当部長
検査に関しては、世の中の検査の環境、キャパシティが大きくなってくるのをいち早くキャッチする形かと思います。PCR検査に加えて抗原検査が保険の対象になりましたし、抗体検査も含めていろいろなことを勉強しながら、できるだけ精度がよくしっかりした検査があれば、チャンスをみながら取り入れるようにしたいというステータスでございます。トレーニングのガイドラインについては、ほぼ手元に案ができ上がっている段階です。この後、関係各所の確認をいただいてからクラブに展開する段取りを予定しております。
A:村井チェアマン
いわゆる陰性のパスポートと言いますか、選手が感染していない状況で、練習や試合に臨むことが一番望ましい状況ですので、その精度を上げていくためのアプローチは望むところです。その中で、検査も有効な手法ではありますが、国民にその検査体制が十分に整う前に、我々だけが特別に独占することができないという認識の中で、情報収集をしているところでございます。
一方で、選手の行動管理や健康状態の管理をしっかりと徹底していくことが、何よりも選手が健康であることを証明する所作になるという助言もいただいておりますので、組み合わせながらしっかり対応してまいりたいと考えております。
(中略)
Q:再開に向けて、抗体か抗原検査は選別中であるものの、(選手に対する)検査を取り入れる方向で考えているという認識で間違いないでしょうか。
A:村井チェアマン
ブンデスリーガのように、Jリーグの1,400~1,500名の全選手への検査は物理的にも供給体制としても現状では難しいと思っています。クラブによって自主的に入手できる範囲で検査を行うことはあるかもしれませんが、PCR検査や抗原検査のような、まだ政府が医療体制を整備するために必要としているものに対し、我々が非常に大きな数を独占することは現実的ではないと考えております。抗体検査、抗原検査、PCR検査の識別についても、専門家の意見を聞きながら検討、勉強させていただいている状況ですが、検査で100%陰性と判断することは現実的には難しいと専門家の皆様もおっしゃっています。わたしは医療的な見解を申し上げられる立場ではないですが、例えば2週間の行動管理、健康管理をしっかりして、日々の状態と、誰とどう接触してきたかを完全にトラックしている方が、何よりも健康であることのエビデンスになりえるというお話も伺っています。検査だけが100%ではないけれど検査体制が整ってくるという希望的なご意見もいただいていますので、そうした検査とエビデンス管理のセットで考えていくべきだと考えています。
(参照:J.League.jp)
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行動管理・健康管理の一例
再開する上での健康管理の一例を示します。
スクール生・保護者さまへのお願い
・毎日、体調チェックをして下さい。(検温・咳の有無・喉の異常・家族の健康状態)
・うがい、手洗い、咳エチケット、マスクの着用、むやみに顔に触れないなど感染予防を行って下さい。
・規則正しい生活とバランスの良い食生活を心掛けて下さい。
・発熱や体調が優れない場合、家庭内に体調不良の方がいる場合は、参加を控えて下さい。
・新型コロナウイルス感染が判明した場合、濃厚接触者として特定された場合は参加を停止して下さい。
・移動時はマスクを着用し、公共交通機関を利用する場合は出来る限り混雑を避けて下さい。
・移動時は、出来る限り個人で行動しおしゃべりをしないで下さい。
・スクール終了後は、寄り道せず帰宅をして下さい。
・汗拭き、手洗い用のタオルを持参して下さい。
・見学時はマスクを着用し、人との距離をとり密集・密接を避けて下さい。感染予防について
・コーチは、毎日検温及び体調チェックを行い感染予防に努めます。
・挨拶時の握手、ハイタッチは行いません。
・スクール生向けの長時間のミーティングは行いません。
・密集・密接に気を付けます。
・各会場内の消毒を行います。(参照:ジュビロ磐田)
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PCR検査、抗原検査、抗体検査でわかることって何?
Yahoo!ニュースで新型コロナウイルスについて様々な情報を発信されている、感染症専門医である忽那賢志先生の記事より、各検査からどんな結果がわかるのかをご説明します。
それぞれの検査の意義と長所・短所
【PCR検査】
今感染しているかどうかを判定する検査で、鼻咽頭拭い液や喀痰などから検体を採取します。感度が高いのが利点ですが、結果が判明するまでに約6時間かかります。
【抗原検査】
今感染しているかどうかを判定するキットで、鼻咽頭拭い液を用いて検査します。短時間(約30分)で判定が可能ですが、感度が低いのが難点です。
【抗体検査】
過去に感染したことがあるかどうかを血液から判定する検査です。感染症流行の全体像を把握することが可能ですが、偽陽性が起こり得る可能性が高いです。
現在想定されている使い方は、新型コロナが疑われた方に抗原検査を施行し、陽性であれば新型コロナと診断、陰性であっても確定例との接触歴や渡航歴、臨床症状などから新型コロナが否定できない場合にPCR検査を行うという流れです。
抗体検査は個人個人の診断というよりも、感染症の全体像を把握し、公衆衛生上の対策に役立てることができます。しかし、抗体検査キットについては現時点ではどれくらい正確なのかに関する情報がまだ十分ではありません。
(参照:Yahooニュース)
それぞれの検査を、正しいタイミングで行い、正しく結果を解釈できることが重要のようですね。
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最後に
世界各国のリーグで選手へのPCR検査などが導入されているニュースを見ると、日本はしなくて大丈夫?と心配になるかもしれません。しかし現状では、絶対に大丈夫といえる「免疫パスポート」が発行されるわけではないため、2週間の行動管理と健康管理をもって健康であることの根拠とするJリーグの方針は、医学的に間違っていないと言えるのではないでしょうか。
今後も3密の回避やこまめな手洗いを継続し、健康をしっかり保つよう心がけましょう!