Jクラブが練習試合で遠隔応援アプリやスポーツギフティング企画を導入し、好評を得る事例が報道される中、日本トップリーグ連携機構 川渕三郎会長が公募を呼びかけていた無観客試合の代替名称が『リモートマッチ』に決定しました。
Jクラブの窮状を救う策で無観客試合を盛り上げると同時にwithコロナ時代の観戦を成立させるため、Jリーグは今後どう変わるのか。
こちらの記事では無観客試合で得られる成果と、今後Jリーグがクリアすべき障壁、「観客動員」に向けての新たな応援スタイルについてまとめました。
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磐田 「ヤマハ・リモートチアラー」選手に好評!
浦和 練習試合ギフティング企画で投げ銭最高10万円!
リモート応援、選手に好評!Jリーグ導入に後押しの声
6月13日に無観客のヤマハスタジアム(静岡)で行われたJ2磐田 vs J3沼津の練習試合では、自宅などで中継を見ながらスタジアムに声援を届けられる新技術、ヤマハの遠隔応援システム「リモートチアラー」の実証実験が行われました。
DAZNでライブ配信されたこの日の実証実験ではクリック数は約190万回を記録。
「歓声」ボタンを押すと「ワー、オー」、「激励」ボタンは「ガンバレ、行け、負けるな」という応援が送れ、応援リーダーが合図を送ると「ゴール」のかけ声などを選択できるようになるといいます。「拍手」ボタンで「パチパチ」という拍手音が流れる点も会場を大いに盛り上げたようです。
選手達からも好評を博しており、試合後半13分に得点したU-23日本代表FW小川航基選手(22)は「選手にとって声援があるのとないのではモチベーションが全く別もの。最後の一歩や最後まで走り切るために素晴らしいシステムだと思う」と絶賛。フベロ監督(46)も「応援に助けられた。無観客とは雰囲気が違う」と語っています。
同システムは、声援量がホームが7割、アウェーが3割にコントロールされる機能も搭載。
今回の実験ではヤジの選択肢も無く、アウェーチームとなる沼津のDF徳武正之選手(28)は「磐田の声援は大きかったけれど、嫌な感じはしなかった。観客がいないと、ゴール裏からのプレッシャーもない。」と話しました。
Jリーグもリモート応援導入を前向きに検討しており、ヤマハ関係者は、スピーカーの状態など条件が整えば「どこのスタジアムでも導入できる。国内外のさまざまな団体から問い合わせがある。」と話しました。
リモート応援の声、ヤマハスタジアムにしっかり届いています!!
スタジアムの音声はYouTubeのジュビロ磐田公式チャンネルでご確認ください👍https://t.co/tuS7WCEIz3
🎬試合のご視聴は #DAZN で!https://t.co/ZM0z3vWWBz pic.twitter.com/Xe0SAF0TbP
— ジュビロ磐田 (@Jubiloiwata_YFC) June 13, 2020
練習試合ライブで最高10万円の投げ銭も!
Jクラブの窮状を救う策として注目を集めている「スポーツギフティング(投げ銭)」。この挑戦にも明るい兆しが見えるような事例がありました。
6月13日、J1浦和は練習再開後初となる対外試合、J2町田戦を実施。クラブの公式ユーチューブチャンネルでライブ配信され、初のギフティング企画も遂行されました。
試合は30分×4本の形式で行われ、浦和は1-2で敗れるも、4本目で元日本代表FW武藤雄樹選手(31)が反撃の1点を報いるとイベントの熱気は一気に上昇。1口、10万円の投げ銭もあったのだそうです。
視聴者は専用アプリを通して好プレーに投げ銭できるというシステムで、相場は一口500円から数千円。
クラブによると、このライブ配信は最多の時間帯でおよそ4万7000人、のべ37万人が視聴したとのことです。今シーズンは約10億円の赤字が見込まれる中、『スポーツギフティング(投げ銭)』がクラブの救済策となると同時に「新たなスポーツ文化」となり得る可能性に期待が高まります。
無観客試合の代替名称や、リモートで応援するファンの呼称が決まったこともこれらのサービスをより身近に感じることに一役買いそうです。
無観客試合を盛り上げることと同時に進められていることが観客動員後の環境の整備です。
段階的に観客動員が可能となる7月10日以降、新しく導入される応援ルールについても確認しておきましょう。
代替名は「リモートマッチ」に決定!
略称「リモマ」・ファン呼称「リモーター」
6月3日から9日までの1週間という短期間にも関わらず応募総数9156件とTwitterをにぎわせた無観客試合の代替名称案。
公募を呼びかけた川渕三郎会長をはじめとする日本トップリーグ連携機構と、加盟する全てのリーグは全tweetの中から代替名称を「リモートマッチ」に決定しました。
リモートマッチという名称を「より身近に感じさせる案」として、Twitterに応募のあった「リモーター」というファンの呼称や「リモマ」や「リモJ(リモートJリーグ)」などの略称も同時に採用。
試合が従来の形に戻るまではまだまだ厳しい状況が続く中、スポーツを愛する人々と考える時間を共有し、アイディアを形に出来たことは、新たなスポーツの在り方に希望と可能性を見出せたのではないでしょうか。
選定理由は以下の通り。
■試合を再開するにあたり、無観客試合という言葉を変えたいと思った一番の理由は、選手とファンがつながっている意味を込めたい、ということだった。リモートは、物理的には離れていても選手とファンのつながりを示すことができる言葉であるため採用した。
■リモーターという案も組み合わせて使用することにより、選手とファンの新しい関係性が生まれる可能性を感じるため。
■略称のリモマや、各リーグの頭にリモートを付けるような応用も考えられるため。
例:「リモートJリーグ」(リモJ)
■試合の配信の有無に関わらず、また、徐々に会場にお客さんが入れるようになった時にも、汎用的に使用可能であるため。
■リモートは、昨今社会に浸透している言葉のため、説明が少なくとも理解できる言葉のため。参照:日本トップリーグ推進機構
観客動員後はこうなる!
感染防止のための観戦ルール
厳戒態勢取りながら徐々に動員 Jリーグ観戦ルールはどう変わる?
「リモートマッチ」と代替え名称が決定した無観客試合。静かなスタジアムを盛り上げるため、様々なアイディアの検証が着々と進む一方で、Jリーグでは観客動員が始まってからのガイドラインが決定、発表されました。
感染を極力防ぎながら公式戦を再開するため、観戦時のマスク着用、応援歌禁止などの新たな観戦ルールも盛り込んだガイドラインは70ページに及んでいます。
(※ガイドライン(PDF)はJリーグ公式HPに掲載されています。)
7月10日からの「超厳戒態勢時」は5000人または会場収容人数の50%の2つのうち少ない方の人数を動員可能。チケットの販売はビジター席は設置せず、チケット販売は原則シーズンシート、ファンクラブのみ。一般発売の有無はクラブごとに決定されます。客席の間隔を椅子の中心から半径1メートル以上とし、アウェー席は設けない。喫煙所の設置は無く、売店ではアルコールを除くビン、缶、ペットボトルなど既製品の飲料のみの販売を認めるものとされています。
8月1日以降の「厳戒態勢時」では会場収容人数の50%が動員可能。チケット販売についてはビジター席の設置も認められ、一般販売も実施されます。客席は1席程度の間隔を空け、アウェー席、喫煙所も設置。アルコールを除いた飲食、グッズ販売も認める方針です。
観客数を制限する試合はいずれも体温37.5度以上の入場が不可。
応援スタイルもこれまで会場を盛り上げてきたものから大きく制限されることとなりました。
応援スタイル禁止事項
新な応援ルール導入後、当面容認される応援スタイルは横断幕掲出のみ。
「個人防衛」を十分に行っていたとしても「感染を100%防ぐ手立てはない」ことを前提に、周囲に感染を広げないことを含めた「集団防衛」の重要性が示される形となりました。
『無観客試合の楽しみ方の構築』と『観客動員後の環境整備』。
待ちに待ったJリーグの再開。クラブの存続と選手や観客の安全を守っていくためにも、この2つのアプローチは今後も重要な鍵となりそうです。
参考文献
無観客試合に代わる名称を決定いたしました。(日本トップリーグ推進機構)
浦和、練習試合で10万円の投げ銭も!武藤が強烈ボレー弾(YAHOOニュース・SANSPO.COM)
【磐田】リモート応援、選手らに感想聞いた…小川航基「素晴らしいシステム」フベロ監督「無観客とは雰囲気が違う」…担当記者が「見た」(YAHOOニュース・スポーツ報知)
Jリーグ公式HPニュース 解説:「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」とは?
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最後に
再会に向け、動き出したJリーグ。従来の姿に戻るまではまだまだクリアすべき障壁は残るものの、新たなスポーツ文化の可能性を感じる取り組みや、観客動員に備えてのガイドラインの構築など、事態は着々と進んでいます。
感染予防についても個人ベースから「集団防衛」へとその意識を高めていくことも示されたJリーグの新ガイドライン。リモート応援を楽しみつつ、スタジアムでの応援スタイルについて理解を深め、サポーターの立場からも周知徹底しながら選手と一丸となって前進できるようにして行きたいですね。