2月15日〜18日の日程で行われた第41回九州高校U-17サッカー大会で第3位という輝かしい成績を収め、有終の美を飾った日章学園の早稲田一男監督。
2020年の3月いっぱいを持って日章学園高校を退職するということが発表された際は、地元テレビ局をはじめ大手サッカーメディアでも大きく取り上げられました。
宮崎県日南市出身の早稲田監督は、高校時代にはFW,MFとして帝京高校(東京)で1年生時から活躍し、高校総体ベスト4、2年では高校総体優勝、第55回高校選手権ベスト4進出に貢献。
3年時には主将をつとめ第56回高校選手権で優勝を飾るなどの経歴を持つ、高校サッカー界のレジェンドの1人。
古河電工(現千葉)でプレー後、1985年2月に日章学園高の監督に就任して以来35年に渡って同校の指導に当たってきました。
早稲田監督が2020年4月から赴くのは同じく宮崎県内屈指の強豪宮崎日大高校サッカー部。
新天地での新たな挑戦を前に、中学高校女子サッカー部を束ねる総監督として宮崎日大高校サッカー部での指導にかける想いをお伺いしました。(以下敬称略)(取材、文 江原まり)
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新天地、宮崎日大高校へ
(宮崎日大サッカー部 総監督に就任する早稲田一男監督)
ーーー本日はどうぞよろしくお願いいたします。いよいよ新学期も近づき、新天地宮崎日大高校サッカー部での指導が始まりますね。いつ頃からそういったお話があったのでしょうか?
早稲田監督
2020年3月で日章学園を定年退職する、ということが決まり、その後1月中旬ぐらいに宮崎日大さんからぜひお力をお貸しいただけないでしょうかというお申し出をいただき、随分と考えましたが3月に入り、新たな挑戦を決心したところです。
ーーー宮崎日大高校は、2019年,2018年度の高校サッカー選手権大会宮崎県大会では準優勝、2017年度は3位(いずれも日章学園と対戦して敗退)という宮崎屈指の強豪校ですね。
チーム作りにはどのような構想をお持ちですか?
早稲田監督
まず最初はスタッフ間のミーティングが必要だと考えています。
選手権宮崎県大会は過去3年間上位に進出しながらも日章学園に破れて全国までは届きませんでした。
それに対して、まずはスタッフ間で原因がどこにあるのかを明らかにして、全国へ行ったチームとの「差」を自覚することではないでしょうか。
スタッフの意識革命があって、次に選手の意識革命があるのかなと思っています。
意識革命という点では、サッカーだけでなく、日常の学校生活がとても重要です。
グラウンドの中だけの問題ではなく「人として」という部分。
例えば、学校生活では校則をあやふやにしない、授業に対して先頭を切って動き出しができる、などそういう部分から考えていかないといけません。
人に支援される、愛される人間性のある部員、クラブを目指します。
これをすることがサッカーにはプラスになるからです。
自分の事しか考えられない選手はサッカーのようなチームプレーに関してはマイナスの要素になります。
人の痛みがわかるような「人間としての成長」の先にサッカーの成長があると考えています。
サッカーの取り組みの面では、宮崎日大は中高一貫校ですから、その良さを活かしていきたいですね。
(前任の)日章学園も中高一貫校でしたが、中高一貫校では中学生が高校生の練習を間近に感じたり、試合の前には高校生の胸を借りて試合をするなどしていました。
同じピッチで練習もしていましたから、中学生が高校生の雰囲気を感じながらサッカーをするというメリットもありました。
宮崎日大では、中学と高校の練習場所が違うので、同じようにとは行かないと思いますが、できる限り中高の連携を深めて6年間の一貫指導のメリットを引き出していきたいです。
6ヶ年計画で目的目標を達成すべく強化を進めていけば、能力が高い子、頑張る子は上のステージでの夢が広がると思います。
今後のビジョンについて
ーーー具体的にどんなサッカーを目指していくお考えですか?
ボールを大事にしていくスタイルで、勝負強いチーム作りを目指します。
「点を取れるときに取る」「ピンチをどうにか体を投げ打ってでも守りきる我慢強さ」を持ったチームを作れたらと。
宮崎日大サッカー部の選手は一人一人のポテンシャルが高いと感じています。
ただ、まだそれを活かしきれていない部分があると思ってます。
例えば、宮崎日大は高円宮杯U-18サッカーリーグ2019プリンスリーグ九州参入戦に進出していますが、プリンス参入は果たせませんでした。
県リーグでは勝てるけど、参入戦で跳ね返されている。
それは何故なのか、というところで原因を考えて強化していくことが必要です。
具体的には走力・技術・メンタルをどういう風にして上げていくか。
チームを見て、考えながら、そしてやりながらトレーニングを改善していきます。
宮崎日大は人工芝のピッチ2面という素晴らしい練習環境を持っていますし、内部進学以外にも選手が入ってきたり、また進路の面では日本大学との繋がりもある。
そういうアドバンテージもあるチームです。
3年のうちに、宮崎県チャンピオンとして全国に駒を進められたらと考えています。
ーーー最後に、宮崎日大での決意をお願いします!
早稲田監督
まずは、こうして新たな指導の現場を提供していただいたことへの感謝を述べさせていただきます。
選手たちを全国の舞台へ連れていくために、これまでの35年の指導経験の全てを発揮して、皆さんの期待に添えるような指導者であり得るように、誠心誠意取り組んでいきます。
ーーーご活躍を期待しています!本日はお忙しい中ありがとうございました!