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子どもたちに知ってほしい!サッカーの裏方職業についてのまとめ。⑯サポーター編

将来、子どもたちの職業の選択肢になるかもしれないサッカー選手以外の裏方の職業についての第16弾です。
実業之日本社から出ている『サッカーの憂鬱 2』(能田達規著)をテキストに、サッカーの裏方の職業をシリーズでお届けします。
今回は実は「職業」ではありません。それでもサッカーを支えるのになくてはならない、「サポーター」の存在について少し深く掘り下げてみましょう。

photo:flowcomm

CASE.16 あらすじ

サポ1photo:zenithe

「あなたはなぜ 姫路ホワイツを応援するのですか?」

女子大生がサポーターにインタビューしています。

なぜそんなに熱く応援をするのか。
なぜ遠いアウェイまで行ってしまうのか。
なぜ試合中ずっと跳ねているのか。

そんな疑問を卒論研究にしようと思った女子大生が今回の主人公です。お金も時間もつぎ込み、特定のサッカーチームを応援するために文字通り東奔西走する…「なぜ?」と思ったことはありませんか?

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サポーターの1週間

サポ2photo:dom fellowes

いわゆる熱心な「サポーター」といわれる人たちは、どんな1週間を送っているのでしょう?

平日

・働く(応援に行くため)
・週末の試合に備えての準備(洗濯等)

試合前日

・夜に移動(あるいは当日の朝移動)

試合当日

・試合前ミーティング
・横断幕設置などの準備
・応援
・試合後の片づけ
・移動(帰宅)

土日の試合の後は月曜日から仕事という人も多く、試合が終ったからと言って「一泊して帰ろう」ということにはならない場合もあります。

J3の試合では、FC琉球が参戦しています。FC琉球まで弾丸日帰りツアーを決行しているJ3サポーターの方も多いと推測されます。

サポーターの種類3つ

サポ3photo:NAPARAZZI

サポーターは3種類に分かれます。分類に際しては、「サッカーの憂鬱 2」を参考にしました。

コアサポーター

ゴール裏で応援する人たち。応援の中心となり、どこで行われる試合にも行く人たちでもあります。場所としては、ゴール裏にいる人たちです。

各クラブに中心となるコアサポーターたちがおり、クラブからの依頼を受けたり、たくさんあるサポーターチームの調整をしたりすることもあります。

シーズンの初めに新加入選手のチャント(応援歌)を作ったり、掛け声などを統制しているのもコアサポーターです。

チームのユニフォームは必需品ですが、上半身裸で応援している人もよく見かけます。

サポーター

チームのユニフォームを着て、チャントも歌えますが、飛んだり跳ねたりはしません。ファミリー層、熟年層、ジュニア層に多いようです。

熱心に毎試合来ていますが、一人で見るのが好き、という方もここに含まれます。

座る場所としては、コアサポーターから少し離れたゴール裏全体に座る人が多いようです。

一般客

試合には来たり来なかったりですが、来ない日も家のスカパーなどで試合はチェックしています。ゴール裏ではなく、試合全体が見渡せる真ん中からホームよりに座ることが多いようです。

サポーターとファンの違い

サポ4photo:Coca-Cola South Africa

JFA(日本サッカー協会)は、ファンとサポーターを次のように分けています。

ファン

全般的にサッカーが好きな人。クラブチーム、国を問わず、面白そうなサッカーがあれば見に行く人。特定のチームを愛しているのではなく、「サッカー」を愛している。

サポーター

熱狂的なサッカーファン、または特定のクラブチームなどを応援する人。直訳すると、「特定のクラブチームを応援(支援)している人」という意味になります。

サポーターは、好きなクラブチームのためならなんでもいうことを聞いてくれる人のことではありません。

負け試合が続けば、ブーイングが飛びます。フロントや監督のやり方に納得が行かなければ、文句も出ます。直接フロントに要求することもあります。

それもこれも、せんじ詰めれば、「自分の愛するクラブチームにもっと輝いてほしい」から。文句や要求は、愛情の裏返し。保護者の方がお子さんに言うことと、何ら変わりはありません。

サポーターって怖いもの?

サポ5photo:PSGMAG.NET

時折ですが、サポーターによる「事件」がメディアを騒がせます。

・差別的な内容の横断幕を試合中ずっと掲げた
・フィールドにものを投げ込んだ
・相手チームのサポーターを挑発し、暴力行為に及んだ
・観客に暴力行為をした

などのことは、残念ながら1年に何度か起こっています。そのたびに選手やクラブに迷惑が掛かっているのも確かです。Jリーグから制裁として与えられた「無観客試合」「チームに課される罰金」などは記憶に新しいところです。

このような行為がクローズアップされてしまうので、サポーターは怖いものというイメージをお持ちの方も少なくありません。

無くなりはしませんが、この手の事件は減っては来ているようです。日本のサッカー文化の成熟とともに減っていく現象だという識者もいます。このような事件が減っていけば、スタジアムにもっと人が入ると考えられています。

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サポーターはどうやってなるの?

サポ6photo:Jarrett Campbell

いつの間にかコミュニティになっているサポーターたち。かなり不思議な風景です。どうやったらそうなるのか、J2クラブのサポーターの方に聞いてみました。

「まず、試合に行きます。だいたい座る場所を決めて観戦していると、周りの人と会話が生まれますよね。なんとなく顔を覚えてもらうと、席を取っておいてくれたりするようになるんです

この方はコアサポーターではありません。が、昨年の入れ替え戦の時に遠方までの飛行機を使う弾丸ツアーを実行しました。

「現地まで行く飛行機の中にも、ユニフォームを着ている人はずいぶんいました。駅前では、ユニフォームを着た知らない人が『応援だったら乗っていきませんか?』と車に乗せてくれて、お互い見ず知らずの人たちと乗り合わせてスタジアムに行ったんです。

帰りには一緒に温泉に行きました。ほかのところでは考えられないコミュニケーションですよね」

  アウェイへ行く人たちはどんな人たちなのでしょう?

普段はスタジアムでボランティアをしていて試合が見られないから、アウェイだったら見られる、という人もいました」

  サポーターをしていくときに大切なことは?

「やはり家族の理解です。休日は家にいないし、アウェイに行けばお金もかかる。家族が理解してくれなければ行きづらくなるでしょうね。家族には感謝しています」

気になる移動費の話

サポ7photo:401(K) 2012

「もしコンサドーレ札幌サポーターがアウェイ全試合に行ったら」

新千歳空港付近に住んでいるコンサドーレ札幌サポーターが2016年度のアウェイ全試合に行ったと仮定して飛行機代を出してみました。※飛行機代はすべて往復割引後の値段です。JALに乗ったと仮定しました。特別割引は適用していません。飛行機代のみで、現地の交通費は足していません。

合計は…591,910円でした!(あまりにリストが長くなったので、詳しく知りたい方は一番最後の「おまけに」をご覧下さい。)

そんなに多くなかった、ですか?これに現地までの交通費(金沢のスタジアムの最寄り空港は新潟なので、北陸新幹線で移動など)は含まれていません。もちろん、日帰りの設定になっています。

セレブな移動はこれに現地交通費や前泊などの宿泊費などがかかるので、普通の経済状態のサポーターは車に相乗りなどして現地まではるばるドライブというのが一般的のようです。

「応援があれば出る一歩がある」

サポ8photo:Susan Lloyd

マラソンを走ったことのあるサポーターの方は言います。

「もうだめだ、と思っても、沿道の方の応援が次の一歩を出させてくれることがあるんです。

一人だったらやめてしまうかもしれない次の一歩を踏み出させてくれるのは応援、という体験をしました。声がなかったら出せない一歩は、あります。選手の方もそれは一緒だと思う。

僕たちが応援するのは、苦しいときのその一歩を押し出す力になりたいからです」

ピッチで選手が倒れると、その選手の応援歌(チャント)が流れます。立ち上がると拍手が響きます。選手も精神力と体力の限界で戦っているとき、その応援が立ち上がる力をくれるのです。

あと一押しの力。その一押しを押してくれるのがサポーターです。

「上を向いてもらうための応援を」

Fight the Skyphoto:Alan Levine

勝つ試合があれば、負ける試合もあります。毎年、降格争いをするチームは何試合もリーグ中に連続負けがあります。

試合終了時にサポーターに挨拶に来る選手たち。負けが続いてくると、選手たちの顔はどんどん上がらなくなっていきます。負けが続いている試合での連続失点もそうです。

次の試合、次の局面に向かうには、もう一度折れそうな心を立て直し、顔を上げることが必要になります。

しゅんと下を向いてしまっている選手に『がんばれ』『次は頼むぞ』ということで、上を向いてもらう原動力になれればと思っています。声は必ず届きます。勝つに越したことはないですが、負けたって必ず次がある、そう思ってほしい」

これはプロクラブだけの話ではありません。ジュニアサッカ―チームにもサポーターがいます。それが、保護者の皆さんです

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保護者は子どもの「最上のサポーター」

サポ10photo:Bill Soistmann

その一歩を出すために、下を向いてしまっている選手にもう一度顔を上げてもらうために。応援はそのためにあるものです。

ジュニア選手にとっては、保護者が最上のサポーターです。ブーイングばかりのクラブより、励ましの声が多いクラブのほうが雰囲気も良く、順位も後から伸びていくもの。

どうしてもジュニア選手の場合、ダメ出しをしたくなる場面が多いものですが、ジュニア選手を声で押してあげるイメージを持つと応援しやすくなります。

そして、週末時間があったら、ぜひスタジアムに足を運んでみてください。できたらゴール裏、コアサポーターの外側あたりに座ってみると、熱狂させる「ゴール裏の音圧」を体験することができます。

最後に

JFAが提唱している、「サッカーファミリー」という考え方があります。サッカーをしている人だけでなく、応援している人も愛好者もすべてサッカーを愛する人はサッカーファミリーだという考え方です。

サッカーが盛り上がり、みんながサッカーを好きになり、地元チームが盛り上がり…という流れの中で、ジュニアのチームの発展にもつながっていくことでしょう。

今回の取材に応じてくれたサポーターさん、どうもありがとうございました(^^)/

おまけ|д゚)

サポ11photo:Travis Wise

4月3日 町田ゼルビア(町田市立陸上競技場)飛行機代37490円
4月17日 モンテディオ山形(NDソフトスタジアム山形)飛行機代28700円
5月3日 ツエーゲン金沢(石川県西部緑地公園陸上競技場)飛行機代(新潟まで)29700円+
5月15日 水戸ホーリーホック(ケーズデンキスタジアム水戸)飛行機代(羽田まで)34790円
5月22日 カマタマーレ讃岐(pikaraスタジアム)34790円
6月4日 松本山雅FC(松本平広域公園 総合球技場アルウィン)21300円
6月26日 ザスパクサツ群馬(正田醤油スタジアム群馬)34790円
7月9日 セレッソ大阪(キンチョウスタジアム)18700円(片道)
7月16日 ファジアーノ岡山(シティライトスタジアム)20790円(片道)
7月31日 レノファ山口(維新百年記念公園陸上競技場)16390円(片道)
8月11日 横浜FC(ニッパツ三ツ沢球技場)34790円
8月21日 京都サンガFC(京都市西京極総合運動公園陸上競技場県球技場)19400円(片道)
9月18日 V.ファーレン長崎(長崎県立総合運動公園陸上競技場)18100円(片道)
10月2日 ギラヴァンツ北九州(北九州市立本城陸上競技場)13690円(片道)
10月16日 愛媛FC(ニンジニアスタジアム)13290円(片道)
10月30日 ロアッソ熊本(うまかな・よかなスタジアム)16090円(片道)
11月6日 徳島ヴォルティス(鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム)16990円(片道)
11月12日 ジェフユナイテッド千葉(フクダ電子アリーナ)14340円(片道)

…「九州から関東まで車、ってのが近いと思えるようになってきましたよ(笑顔)」というサポーターの方もいらっしゃいます。ツワモノですね。

この記事を書いたライター

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。2023年1月からメディア部門責任者。ジュニアサッカー応援歴17年。フロンターレサポ(2000年~)

元少年サッカー保護者、今は学生コーチの親となりました。
見守り、応援する立場からは卒業しましたが
今も元保護者たちの懇親会は非常に楽しいです。

お子さんのサッカーがもたらしてくれるたくさんの出会いと悲喜こもごもを
みなさんも楽しんでくださいますように。

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