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「失敗の積み重ねが今の自分!恐れずにチャレンジを!」2019年度JリーグMVP仲川輝人選手から、現役高校サッカー部員へのオンラインエール授業【全質問&仲川選手の回答掲載】

△ 仲川選手のゴールパフォーマンスで記念撮影

インハイ.tvと公益財団法人全国高等学校体育連盟は、現在、高校生や指導者を対象にした「オンラインエール授業」を行っています。「オンラインエール授業」とは、高校生や指導者とトップアスリートたちが、想いや悩みを一緒に話し合いながら答え見つけていくための対話の場です。

第9回(6月25日)は、2019年度JリーグMVPに輝いた横浜F・マリノスの仲川輝人選手が講師として登場。
高校サッカー部員の皆さんの問いに、自身の経験を踏まえた様々な答えを導き出してくださいました。

(オンライン取材/Rie)

↓仲川選手のお話は写真の下に続きます↓

講師は横浜F・マリノス所属 仲川輝人選手

プロフィール

1992年7月27日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノス所属。
川崎フロンターレの下部組織を経て専修大学に入学。3年次に関東大学1部リーグ得点王を獲得。ユニバーシアード代表にも選出されるなど「大学No.1」とも評されていたが、4年次に試合中の負傷により右膝前十字靭帯および内側側副靱帯断裂、右膝半月板損傷という大けがを負い長期離脱を余儀なくされた。しかし、これまでの活躍が高く評価され、2015シーズンに横浜F・マリノスに入団。2019シーズンには、得点王、JリーグMVP、ベストイレブンを獲得し、チームのリーグ優勝の立役者となった。2019年12月には日本代表に初選出され、12月14日の香港戦で代表初キャップを記録。
オンラインエール公式サイトより

司会進行はスポーツジャーナリストの生島淳(いくしま・じゅん)氏が担当されました。

大けがに落ち込んだのは1日だけ!?
仲川選手からのオープニングトーク

「皆さん、こんにちは。仲川輝人です。
最近の部活動はどうですか?うまくやれていますか?皆さんからの質問をもとに一緒にディスカッションしながら、この授業をやっていけたらなと思います。今日はよろしくお願いします。

まずは自分の背番号でもある23番の方、最近はサッカー出来ていますか?コンディションの部分で何か不安なことはありますか?」

—「体力の部分で、少し不安なところがあります。」という答えに対して。
「それは自分も同じですね。もうすぐ試合ですけど(笑)、体力面は自分もちょっと気にしている部分もあります。ここからです!」

—高校時代はどんな学生でしたか?
「背が小さかったので高校1年生の頃はフィジカルの部分で苦労していました。自分の特徴を理解するようになってきてからは、スピードやアジリティ(すばしっこさ)の部分を強化する、高めていくことを重点的にやっていました。そこから段々、自分の感覚や相手との間合いに対して、自信を持ってプレーできるようになったかなぁと思います。」

—強みを発見する3年間だったということですね。高校時代に持っていた将来の夢や目標は何でしたか?
「ずっと日本代表になることを目指していました。海外でプレーしたいという気持ちも強かったですね。」

—大学4年生の時に、大けがによる長期離脱を余儀なくされた経験は、今、どのように活かされていますか?
「実は、けがをしてしまってすごく落ち込んだのは1日だけだったんです。その1日は家でショボーンってなってましたけど。次の日からは、いかに早くトレーニング、サッカーの練習ができる体にするかを優先しました。ずっと落ち込んでいても状況は変わらないし、すぐに切り換えることが大事。試合で失敗してもそれは良いことで、その失敗を次の成功にどう進めていくかだと考えています。けがをした時は、早く完治させること、けがをする前よりひとまわりパワーアップすることを目標に次に進んでいました。」

緊張が少しほどけたところで、仲川選手と直接話せる貴重な機会を活用すべく、サッカー部の皆さんからたくさんの質問があがりました。

教えて!仲川先生
現役高校サッカー部員が知りたいこと

プレーに関すること

ボールをもらう時、いつ周りをみますか?

「相手のトップ下の選手がどこにいるのか、味方や相手のディフェンダーがどこにいるかというのを、ボールを受ける1個2個前の場面から常に見ておくと、もっといいポジショニングでボールを受けられるようになる可能性があります。1回のファーストタッチで抜けられる位置取りをすれば、ゴールに直結するようなプレーもできると思います。」

ドリブル中に意識していることはありますか?

「相手の重心がどっちにかかっているかというのは、すごく意識していますね。何回も仕掛けているうちに、相手が後ろ体重になる瞬間がわかるようになりました。その時に縦か横のどちらかにグッと行くようにしています。

ドリブルだけで抜けることもありますが、相手が2枚だったりなど難しい時は、味方を上手く使ってワンツーで抜け出してチャンスを作ったりしてます。周りを使うのはすごくいいし、自分もまだまだ成長しなくちゃいけないなぁと思うこともあるので。一瞬のスピードでは負けてないので、逆をつく動きなども意識してやってます。

相手の状態を目で確認してすぐに体を動かすという判断のスピードは、プロの世界では重要です。大学生までは相手を見ていなくても思い通りのプレーが出来ましたが、プロではそれが通用しませんでした。チームメイトのアドバイスから、相手の重心をよく見ることを学びました。高校生のうちから高い意識をもって、相手の重心や体の向きを見るようにしていれば、必ず成長につながるのでぜひチャレンジしてください。」

スピードに乗ったまま、うまくカットインしてシュートを打つコツはありますか?

「どこが悪かったとか、このタイミングでカットインしたら相手が付いてこないなとか、試合の中でわかることが多いので、試合の中でチャレンジしてくことが一番成長に繋がるし大事だと思います。」

どんなディフェンダーが苦手ですか?

「難しいなぁ。距離を詰めてこられるのは、自分としてはあんまり好きじゃないです。一発でガッて来られる方が嫌かなあ。自分の間合いに持っていきたい時に、相手が先手を打ってくる、ボールを奪ってくる、そこでの駆け引きは自分も改善しなくちゃいけない部分だけど、嫌だなぁと思います。

間合いもそうですが、ディフェンダーとして抜かせないためには、どっちに相手をやるのかというのが大事になってきます。縦に行かせたかったら中を思いっきり切る、そこから自分の間合いで勝負に行くっていうのも一つの手です。自分の間合いを見つけるためには、やはり実戦ですよね。ディフェンダーにとっては、スピードが速い選手だったり、逆をつく選手だったり、変なタイミングで抜いてくる選手だったり、いろんな選手がいる中でそれに対応するのは相当難しいので、チャレンジを常にやっていかないと成長できないんじゃないかな。チャレンジを一番大事にしてほしいです。」

Jリーガーの中で嫌なディフェンダーはずばり誰?

「吉田豊選手(名古屋グランパス)です!スピードが速く、対人能力も高いというのもありますが、試合の中で、自分の間合いを持っていかれた印象があったので。吉田選手の方が経験もあるし、一枚上手だったなぁと思いました。」

海外の選手をマネする時のポイントは?

「まず似ている選手を見つけます。メッシ選手は参考にしている部分があるし、アザール選手など足の速い選手、ヨーロッパでは割と小さい選手を参考にしています。自分の得意なプレーや、自分の武器を見つけるのに参考にする選手を見つけるというのは大事です。

自分に足りない部分で海外の選手のストロングポイントを見たら、ドンドン吸収しちゃえばいいし、何が海外で通用するのかを考えてみてください。自分の良さと(他の選手から)吸収した部分をうまく組み合わせるといいと思います。」

スピードに乗って相手を抜く時のおすすめのフェイントは何ですか?

「スピードに乗ってプレーしている時は、僕は「またぎ」などは全然しません。「スピードの乗り方」、「ドリブルする方向」、「相手の重心がどちらを向いているのかを見て判断する」という点が僕が試合で通用している部分なので、参考にしてください。」

サイドハーフの場合の、スピードの乗り方や緩急の付け方のコツは?

「自分はウイングで、足元でもらいたい時は一回相手の動きをチェックするようにしています。相手から1mか2m離れる時のタイミングでチェックの動きをして相手から離れるようにすれば、自分の間合いで勝負できるようになります。縦に行けることも多くなり、相手の体の向きを見て中に入ることもできるので参考にしてください。

カットインする時のポイントは、もちろん相手の体の向きや重心を見るというのもあるけど、目線で『中に入れるぞ』と相手を騙したり、自分の体の向きで『こっちに行くぞ』と見せかけたり、ボディフェイントを入れたりするのは試合でも使えるのでチャレンジしてほしいです。」

サイドからのセンタリングに対する中への入り方のポイントは?

「予測だと思います。逆サイドから突破しそうな時はプレーしていてわかると思います。その時に抜けてから中に入るのだとタイミング的に遅くなったり、間に合わなかったりということが自分でもよくあって、それは反省点です。

サイドから抜け出せそうなのがわかる時は「予測するスピードや質」が大事。相手より一歩二歩前で先手を打てれば体を前に入れることができるし、ワンタッチでゴールも狙えるようになります。」

メンタル面のこと

モチベーションをあげるためにはどうしたらいいですか?

「自分は、1日1日上手くなるんだということをすごく意識しています。前の自分より次の自分、次の自分より次の次の自分というように日々成長できるために何をしなければいけないのか考えて練習の中でやっています。日常では、海外の選手のプレーをたくさん見て、その選手の技やプレーを盗むというのを心がけています。

でも、自分も自粛期間中のモチベーションを保つのにはだいぶ苦労しました。自分の試合の映像を見て、「ここが良かった、ここが駄目だった」、「もっとできることがあるんじゃないか」、「こうしたらよかった」と振り返ったり、「もっとチャレンジしなくちゃなぁ」と練習ができるか分からない状況にあっても、いつ再開されてもいいようにモチベーションを保っていました。

いいイメージを持ちながら練習をしていくのは(モチベーションを保つ上で)すごく大事ですし、自分もいいイメージを持つようなプレーを常に探しています。」

身長が低いことをコンプレックスに感じたことはありますか?

「中学高校の時はコンプレックスに感じていた時はありました。スピードやアジリティといった一瞬のスピードは負けないと思っているので、そこをいかに磨くのかを毎日毎日考えながらプレーしていました。体が小さい分相手の懐に入りやすい。入ってしまえばファールするかそのまま流すかになるので、自分の思うようなプレーができると考えながらやっていました。

チャレンジするのは良いことだし、チャレンジしないと成長もない。自分も失敗ばかりしてきたけれど、その失敗の積み重ねが今の自分でもあるのでポジティブに考えながらやっていった方がいいと思います。」

オフの日の過ごし方は?

「中々外に出られないので、家では海外ドラマを見たりしていました。ほんとサッカーが好きなので一日中サッカーのことを考えて生活しています。サッカーの動画をめっちゃ見ます。ハイライトではなく90分通して好きなチームの試合を見ています。

ハイライトだと、チャンスや、得点シーン、失点シーンだけになってしまうので、チャンスの前のプレーやそこに至るビルドアップの部分、選手の流動的な動きがわからない。90分の試合をしっかり時間をかけて見ていることが多いです。

好きな選手の動画を見るのは大事です。例えばイスコ選手だったら、レアルマドリードの90分の試合を見ると、凄さやポジショニング、ドリブルの緩急の付け方が参考になります。好きな選手の良さを発見して、自分に吸収していけたらいいですね。

最近見た動画では、久保選手がレアル相手に通用しているのがすごく刺激になりました。アザール選手のアシストからセルヒオ・ラモス選手の得点につながったところや、切り替えの早さでスプリントする能力や質はすごいなぁと改めて思いました。」

現役サッカー部員からの決意表明

「今日は、高校生の僕らをお話しする機会をいただきありがとうございます。

新型コロナウイルスの影響で大会とか部活動が制限されていく中で、今日の仲川選手の大学時代にけがをした話や、自粛期間中のモチベーションの保ち方、ディフェンダーとの間合いの取り方など具体的な話など、非常に貴重な話を聞かせていただいてすごく良い刺激になって感謝しています。

高校生の僕らも、これからの練習を一生懸命取り組んでさらに上を目指していきたいと思っています。今日はありがとうございました。」

仲川選手から高校生に向けた「明日へのエール」

「今は思うようにサッカーができない時期ですが、これから徐々に変化していくと思います。Jリーグも再開されます。

その中で、『サッカーができる喜び、楽しみ』に感謝しながらサッカーに打ち込む日々を送ってください。ポジティブに何か目標を自分で決めて、それに向かって一日一日を無駄にせず過ごしてください。

今日の質問はどれも印象深かったのですが、自分がいつも考えている相手を抜く時のポイントなどを高校生たちに伝えられて良かったです。高校生の本音に答えるという経験はとても新鮮でした。今日はありがとうございました!」

動画視聴はこちらから→

オンラインエール授業を終えた仲川選手が感じたこと

インターハイが中止になり、高校生の活躍の場がなくなってしまったことを受け、悲しんでいる高校生に少しでも勇気や励みになることをしたいと思ってこの企画に参加を決めました。大学生の時に、東日本大震災でサッカーがしばらくできなくなった時も悲しかったですが、今回コロナ禍で練習も試合もできなくなったのもきつかったです。

昨年結果を出してから、責任が増した実感があります。Jリーグを代表する選手として鑑にならなければというプレッシャーもありますが、楽しみながらも気を引き締めて、もっと『仲川輝人』を世の中に出していきたいです。

自分が中高生だった頃、セレクション等に参加する時はあまりフィジカルは関係ないと思っていました。背が高いのが有利とは聞いていたけれど、自分の強みを見つける方が大事で、小さいなりの良さは絶対あるし、161cmでもMVPになれるという実績をもって小さい選手でも活躍できることを示せました。フィジカル重視のセレクションの選考基準が少しづつ変わっていけばうれしいです。

身長、体格、強さよりも、このプレーなら相手に負けないという強い気持ちを持っていればプロ選手になることは可能です。小ささを悩むよりも、強みをいかに伸ばすかという思考があれば、道は必ず開けてきます。がんばってください!

最後に

オンラインエール授業を終えてから、仲川選手がポジティブになれる原動力は何ですか?とうかがったところ、
「大けがして復帰するまでの10ヶ月を乗り切れたというのが大きかったです。したいけどできないという状況が続いていたので、復帰した時にはサッカーができる幸せを改めて感じました。『日常にサッカーがある幸せ』が大きな原動力になっています。」と仰っていました。

サッカーに関わる全ての人が、『日常にサッカーがある幸せ』を原動力にポジティブに過ごしていけると素敵ですね。
仲川選手も高校サッカー部員の皆さんもがんばってください!
応援しています(*^-^)

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この記事を書いたライター

JUNIOR SOCCER NEWSWriterRie
埼玉県出身、静岡市在住。
2018年2月よりジュニアサッカーNEWSのお仕事を始めました。
ライター暦2年超えましたが、まだまだひよっこです。

むか~し、昔はサッカー少女だった時代もありましたが、現在は高校生の息子と中学生の娘の応援専門です。
(ごくたま~に、4級審判として、子供たちと一緒にグラウンドを走ることもありますが非常にレア?娘の小学生卒業を期に引退しようかと思いましたが継続!)

読んでくださった方にお役に立てるような記事・コラムを書けるよう、勉強中です。
どうぞよろしくお願いします♪

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