今回は福岡のエリア伊都フットボールクラブの有坂哲ジュニアユース監督のコラムをご紹介します。
エリア伊都さんでは、先日、受験期に突入した中学3年生を対象にした「U-15交流TRM」を開催したそうです。
こちらの交流TRMは個人で参加したい選手が集まり、できる限り所属チームが同じにならないようミックスのチームを作り試合を行う形のトレーニングマッチです。
ほとんどの中学3年生は自チームでの活動は終了し、春まであまりサッカーをする機会がありませんから、試合ができる機会というのは貴重ですね。
また、初対面の選手同士がチームを作って試合をすることで、次のユース年代以降のステージに向けて自己表現をできるようになっていってほしいという想いも込められていたそうです。
ブラジルやコスタリカでの選手経験もある有坂監督の経験から、初対面の選手と一緒にプレーすることの意義について教えてもらいました。(編集部)
↓写真の下から本文が始まります↓
初対面のメンバーで試合をすることで得られる経験とは?
エリア伊都も含めた数チームから希望者の中学3年生に来てもらい、同じチームの選手ができるだけかぶらないようごちゃまぜでチームを結成。自分たちでポジションを決め、3チーム総当たり×2回のゲームを行いました。
初めての試みにも関わらず32人もの選手が参加!
これを企画した理由は、中学3年生のこの時期はどのチームも勉強にシフトチェンジしている子が多く11人を集めることが難しいから。
それと同じ理由で対戦相手も見つけづらいから個人参加でやればやりやすいだろうなと。
そして、もうひとつ。
次のユース年代以降のステージに向けて自己表現をできるようになっていってほしいから。
気心の知れた仲間たちとの中学3年間で、選手としての自分の強みと弱みを自覚できるようになった選手は多いはず。
今度はそれを
周りにどう理解してもらうのか
周りとの関係の中でどう活かしていくのか
周りの強みを活かしていくことで
自分の弱みをどうカバーしてもらうのか。
ユース年代から大学、プロに移行していく上でもこういう部分の能力は、ものすごく大事になってくるんですよね。
交流のない選手たちと同じチームになって行う試合では、そのことに向き合わざるを得ない機会が自然と増えるので、ぜひやりたかったのです。
海外での選手経験から思うこと
ブラジルでサッカーをしていて(※19歳で行ったサッカー留学)向こうの選手たちの一番の強みだと思ったのは「状況に合わせた最適解を導き出す力」。
自分のイメージだけでプレーしていなくてあくまで仲間と合わせながら、相手を外しながら。
で、そのベースにはまず自分自身に何ができて何ができないかをよく理解していて、それを受け入れられてることがあります。
そして、交流のあまりない選手たちとプレーする機会が多いことがあるんじゃないかと思いました。
街中や公園でやっている草サッカーは、年齢も関係なくやりたければ入っていけるし、プロチームの下部組織ではセレクションだけでなくテスト生として参加できたりもする。
ポジティブな理由でもネガティブな理由でも育成年代の頃から移籍が多いし。
その都度、新しい周りとの関係の中で自分を表現しないといけなくて、その機会を積み重ねていくことで、状況に合わせた最適解を導き出す力が自然と育まれていってるんだろうなと思います。
日本ではまだ移籍も少ないし、ブラジルの草サッカーのような機会も少ないのでそういう機会を作っていきたいです。
参加選手たちの様子は??
今回のU-15交流トレーニングマッチは、最初は斜に構えて様子をうかがいまくって、周りに合わせるだけのプレーになりがちでしたが、2周目には関係性が築けるようになってきました。
個々の特徴を思い切って出せる場面も多くなり、見ていてすごく面白い試合となりました。
特に、あるひとりの選手のコミュニケーション能力、表現力、適応力は高い将来性を感じさせてくれるものでした。
12/15(日)には第2回を開催したいと思っています!
個人で参加(500円)できますので、興味のある方はエリア伊都のホームページからご連絡くださいね。
(チーム代表者に参加の了承を得てからお申込ください)
寄稿:エリア伊都(福岡県)ジュニアユース監督 有坂哲
19歳でブラジルへサッカー留学。その後一旦サッカーコーチの職に就く。
その後にもう一度プレーヤーとしてチャレンジしたいと26歳でコスタリカへ。
飛び込みで行ってチームを探すところからスタートして2部チームと契約してプレーをした経験を持つ。
現在エリア伊都FCのジュニアユース監督。