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トレセンやセレクションの評価に影響大!体力テストの重要性を知っておこう

「50m走は瞬発力を測るもの」「握力は手の力を測るもの」「シャトルランは長距離走を測るもの」と思っていませんか?

間違いではありませんが、それは表面的な部分です。

体育大学では、毎年体力テストが行われます。運動能力が高い人たちが集まっているはずの体育大学で、なぜ体力テストを実施するかといったら、「体力テストには深い意味があるから」なのです。

たとえば、握力。握力を測定すると、背筋量が分かります。そして、背筋力は脚力と大きな関係があるのです。握力が高い人のほうが脚力に優れているということがわかっているので、握力が高いのに短距離走が遅い、長距離走が遅いという人は「走り方を改善する必要がある」「もっと早く走れる」とフィードバックされ、パフォーマンスに活かされます。

このように、毎年学校で行われている体力テストは、潜在的な能力を知り、その能力を磨くことでパフォーマンスを上げるための有効な調査なのです。

お子さんの体力テスト、もう一度見直してみませんか?

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なぜ30m走は大事か?サッカーには無酸素性パワーが必要だからです

2642288818_64ecdbd31f_mphoto:John morgan

30m走は、運動の中では「無酸素運動」に分類されます。ジョギングやウォーキングのように呼吸が大切になってくる有酸素運動とは違い、無酸素状態で瞬間的に大きな力を出せることを「無酸素性パワーが高い」と言います。

30m走は、無酸素性パワーを知るためにちょうどいい長さの走りです。また、サッカーで行われるスプリントに限定すると、50m走では若干長すぎます。大事になってくる一回の走りは30m程度というデータもあります。

無酸素性パワーは身長と大きな関係があるとみられています。「小学校年代は身長が高いほうが絶対に有利」というコメントをアンケートでも多くいただきましたが、「身長が高い=空中戦に強い」という側面のほかに、もう一つ「無酸素性パワーに優れている可能性がある」ということができそうです。

30m走を速くするために

握力が平均よりも低くて足が遅いのは、全体的な筋力不足が考えられます。体の様々な部位を使うことで背中を中心に全身の筋肉量を増やすようにしましょう。脚の筋肉だけを鍛えても、足は速くなりません。

握力が平均よりも高いのに足が遅いのは、筋量不足によるものではなく走り方が悪いことが考えられます。立ち方を含むフォームと動き出しを見直しましょう。

足が遅くても「初速」の速さを追求すればスピードを克服できる―岡崎選手に学ぶ鈍足の努力―

参照記事:1999年度報告「ジュニアユースサッカー選手(中学3年生)の体力特性ー等速性脚筋力と最大無酸素性パワーを中心にー」(三重県学校ネットワーク」

なぜ垂直とび・立ち幅跳びが大事か?アジリティを測るものだからです

5208388082_81b947d1ff_mphoto:Pedro Klien

垂直とび・立ち幅跳びは瞬発力を測るための検査項目です。サッカー選手の能力の高さを語るときにアジリティ(俊敏さ)という言葉が使われることからわかるように、多方向へ俊敏に動く能力が求められます。

体力テストで瞬発力の有無がわかるテストは2つあります。垂直跳びと立ち幅跳びです。

垂直とびは垂直方向へのパワーの発揮力、立ち幅跳びは多方向へのパワーの発揮力を測ることができます。垂直とびは国際的にもサッカー選手の体力測定項目として使用されています。(垂直とびは日本代表の記録があります。67.4±6.0㎝です)

大学で、レギュラー選手と非レギュラー選手の体力を比べたデータがあります。その結果、

垂直とび…レギュラーと非レギュラーに有意な差はなし
立ち幅跳び…レギュラーのほうが明らかに距離が長い

ということが指摘されました。垂直とびは真上に飛ぶ瞬発力を測るもので、立ち幅跳びは多方向への瞬発力を測るものです。

サッカー選手に必要な瞬発力は、多方向へ動ける力。垂直ジャンプの練習もよいですが、「遠くへ」飛ぶことのできる筋力もまた、重要です。

大学サッカー選手に観る競技力と簡易体力テスト指標の関連性(参照:東京学芸大学紀要第5部門56)

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なぜシャトルランは大事か?間欠的持久力を高めるものだからです

14887671776_8d69b7a6f0_mphoto:Peter Mooney

シャトルランは、間欠的持久力のテストです。間欠的持久力は「強度が高い→低い→高い→…」という試合中の動きに必要なものです。

サッカー選手は一定しない強度の運動に長時間耐えてパフォーマンスを発揮しなければなりません。間欠的持久力が低い人は、試合中の心拍数が上がりやすいため、「キツイ」と比喩される状況になってしまいやすいのです。試合中の持久的体力に余裕がなくなり、冷静な判断もできなくなります。

シャトルランは、全身の筋肉と心肺機能に大きな関係を持っています。心肺機能は鍛えれば伸びますので、自主練にシャトルランも取り入れると間欠的持久力が鍛えられることになります。

非エリート大学サッカー選手の体力特性と試合中の運動強度(参照:駿河台大学 大森一伸著)

3つの体力テストの結果をチェックし、それぞれを伸ばす努力をすることで、サッカーに向いた体を作ることができます。

体力を伸ばせば合格につながるの?

3585301578_f5744f9f42_mphoto:Juhan Sonin

サッカーは体力だけでは判断できません。瞬発力や間欠的持久力があっても、ボールセンスや足元の技術がなくてはダメなのでは、という思いもあって当然です。

ですが、J下部組織のセレクションの際、「実技技術が優れた選手」を取るのは当然として、「体力測定で良い結果を残した選手から若干名」という枠がある例もあります。詳しくはこちらの記事をどうぞサッカーのセレクション合否者の気になるデータをまとめてみました

足元の技術や広い視野をつけるのは当然ですが、基礎となる体力も上へ行くためには無視してはなりません。

自主練の参考に、お役立てください。

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この記事を書いたライター

JUNIOR SOCCER NEWS統括編集長/事業戦略部水下 真紀
Maki Mizushita
群馬県出身、東京都在住。フリーライターとして地方紙、店舗カタログ、webサイト作成、イベント取材などに携わる。2015年3月からジュニアサッカーNEWSライター、2017年4月から編集長、2019年4月から統括編集長/事業戦略部。2023年1月からメディア部門責任者。ジュニアサッカー応援歴17年。フロンターレサポ(2000年~)

元少年サッカー保護者、今は学生コーチの親となりました。
見守り、応援する立場からは卒業しましたが
今も元保護者たちの懇親会は非常に楽しいです。

お子さんのサッカーがもたらしてくれるたくさんの出会いと悲喜こもごもを
みなさんも楽しんでくださいますように。

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