J SPORTS※1では今年度、育成・指導のスペシャリストたちを講師として招き、指導者、選手、選手の保護者の方々に向けて「プロになるには」をメインテーマとしたオンラインセミナーを実施していくそうです。
初回となる8月29日(土)は、シンガポール代表監督である吉田達磨氏が 『サッカーにおける選手育成・チームビルディング』の講義を行いました。
(※1:J SPORTSは、J:COMなど全国のケーブルテレビ、BS放送(スカパー! )で約630万世帯が視聴する国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局です)
↓本文は写真の下から始まります↓
講師 シンガポール代表監督 吉田達磨(よしだ たつま)氏
1974年生まれ。1993年に柏レイソル入団。1997年京都パープルサンガ(現:京都サンガF.C.)、1999年にモンテディオ山形に移籍、2002年に現役引退。
引退後は柏の下部組織コーチに就任。U-15/U-18のコーチ・監督を経て2010年にはアカデミーダイレクターに就任。この間、日本代表酒井宏樹らの若手選手の発掘・育成に力を注いだ。2012年にはトップチームの強化部ダイレクター(強化責任者)に就任する。
- 2015年柏レイソルトップチーム監督に就任。J1リーグ10位、ACLでベスト8、天皇杯ではベスト4に進出。
- 2016年アルビレックス新潟の監督に就任
- 2017年よりヴァンフォーレ甲府の監督に就任
- 2019年シンガポール代表の監督へ就任
(参照:J SPORTSプレスリリースより)
ファシリテーター 加藤明拓(かとう あきひろ)氏
1981年生まれ。明治大学卒 一部上場コンサル会社の執行役員を経て、2014年に大手企業、プロスポーツクラブにブランド戦略、組織戦略コンサルティングサービスを提供する株式会社フォワード創業。
2015年現アンコールタイガーFC買収、2016年イガンムFCに出資し、両クラブのオーナーに就任。
2019年には12歳以下の世界大会であるワールドサッカーチャレンジにナイジェリア 選抜を率いてFCバルセロナ、バイエルンミュンヘン、Jクラブをおさえて初出場、初優勝。
(参照:J SPORTSプレスリリースより)
シンガポール代表監督に聞く
「サッカーにおける選手育成・チームビルディング」とは
オンラインセミナーは加藤明拓氏のファシリテートにより行われ、講義中に聞きたいことがあった場合は、随時チャットに書き込むとその都度、またはまとめて回答していただける形で進行しました。回答しきれない部分についても、後日、J SPORTS アカデミーサイトで回答していただけるようです。
まずは、吉田監督が思うゲームモデルやコンセプトとの定義を、経験を踏まえてご説明いただきました。
コンセプトをチームに浸透させるにはどうしたらいい?
年代やチームカラーに応じたコンセプトをチームに対して浸透させたあとで実際のトレーニングを行う時に、コンセプトに則したトレーニングの実例として、吉田監督が行っている4対2のボールポゼッションの様々なパターンについて、図を用いて具体的に教えてくださいました。視聴している指導者の方には、とても参考になったのではないでしょうか?
また、「サッカーにおける『言語化』はチームの共通認識を持たせるためにも大事で、シンプルで分かりやすいものが良い」、「コンセプトはただあればいい訳ではなくチーム作りや選手の育成の上で必要に応じて熟成していくものである」、「年代や体格差の違うヨーロッパの強豪チームのコンセプトをそのまま流用するのは注意しなければいけないことがある」、「セレクションにおいて見落とさないように気をつけていること」などについても、経験を踏まえて詳しくお話しされていました。
チームビルディングにおいて大切なことは?
「どんな選手がチームにいるのか、チームの立ち位置(リーグにおいてどのような位置づけにあるか)に応じて、チームをどのように作るのかは変わってくるが、各選手に対して役割を与える⇔勝つために選手が役割を果たそうとするというのがチームビルディング※2において大事なことではないか」と語る吉田氏。
様々な例をあげながら、育成年代においては「やり方」を教えるのではなく、各々が考えてやり方を見つける大切さを説いていました。
(※2:それぞれの選手が個々の能力を発揮しつつ、同じ目標を目指してまとまるための手法)
気になる!育成年代特有の問題って何?
保護者が一番気になる
- 子供たちの成長速度について
- 保護者のクラブへの関わりについて
- 人間教育について
- 子供達にかかるプレッシャーについて
- 勉強の必要性について
上記についても、今までの経験を基にした答えを明快に導きだしていました。特に印象に残った答えは、子供達にかかるプレッシャーについての、『子供達は一生懸命にやっているし、好きでミスするわけじゃないのでため息をついたり、家に帰って責めてはいけない。もともとプレッシャーのある中でがんばっているのでさらにプレッシャーを上乗せするのは避けましょう!』という言葉。
わかっていても、ついやってしまいがちですが、ぐっと飲みこんでポジティブな言葉をかけるようにしましょう。
その後も、参加者から投げかけられた質疑に対して予定時間をオーバーしても答えてくださる盛況なセミナーとなりました。今後も、J SPORTSならではの様々なスポーツジャンルから、育成・指導のスペシャリストたちを講師に迎えたオンラインセミナーが行われるとのことです。
(参照:J SPORTSプレスリリースより / 画像はオンラインセミナーより )
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最後に
吉田氏の指導者人生の中で培われた数々の経験から導き出される言葉には、確かな裏付けがあり、参加した指導者の皆さんや保護者の心にしっかりと響いたのではないでしょうか?
今回のセミナー内容を各自の中で整理して、チームの活動や子供達との関わりに活かせると素敵ですね。
今後開催される他のセミナーも楽しみです!