神奈川県のほぼ中心に位置する伊勢原市。
自然豊かなこの街には、約10.2万人の人々が暮らしています。
市のシンボルと言われる大山は丹沢大山国定公園に属しており、素晴らしい景観が望める観光スポットとして有名です。
地拵え、植栽、間伐などの森林整備や、木々の伐採、運搬から木材の生産などの林業も盛んに行われています。
そんな伊勢原市を活動拠点とするサッカークラブ、伊勢原FCフォレストは、地元の魅力を発信することにも力を入れています。
街のサッカークラブが考える地域共創とは?
伊勢原市が「市の魅力」を発信する個人や団体を認定する「いせはらシティプロモーション」の公認サポーターでもある伊勢原FCフォレスト。代表理事・監督を務める一場哲宏さんにお話を伺いました。
幼児から中学生までのチームで選手の指導、育成に当たる子育てのエキスパートでもある一場監督。
「サッカーを通して子供たちの未来と市の活性化を考えたい」
その思いからは、未来を担う子供たちへのメッセージが伝わってきました。
画像引用:伊勢原FCフォレスト公式HP、伊勢原FCフォレスト公式facebook
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伊勢原FCフォレスト
一場 哲宏監督インタビュー
一場 哲宏監督
日本体育大学に進学後、ケルン体育大学(ドイツ)にて交換留学生として4年間サッカーの指導法を学ぶ。
ケルンの街クラブで5・6才カテゴリーの監督の他、イギリスや湘南ベルマーレなど国内外で指導に携わる。 2019年4月から一般社団法人伊勢原FCフォレスト代表理事と子育て講座講師、エグゼクティブコーチとして活動中。
~保有資格~
日本サッカー協会公認指導者ライセンスB級
日本サッカー協会公認キッズリーダーインストラクター
日本キッズコーチング協会公認エキスパート
幼稚園教諭一種
保育士
紹介文・画像引用:伊勢原FCフォレスト公式HP
地元のポテンシャルを引き出したい!
ーーー伊勢原FCフォレストはサッカーの活動を通して地元の魅力を伝えることにも力を入れているそうですね。
一場監督
伊勢原FCフォレストは、子供が自らの力で行動できることを目指すサッカークラブです。
サッカーを楽しみながら、「将来を見据えた人間力」を養ってほしい。
そのためにも、子供たちには「自分が住む街の可能性」を知ってもらいたい。
地域の活性化について考えることは、私たちが持つ子供たちへの指導理念とも合致していると思います。
私たちが活動拠点を置く伊勢原市には沢山の魅力があります。
丹沢大山国定公園の一角に位置している大山は自然豊かな景観が楽しめる伊勢原市のシンボルで、周辺のハイキングコースには県内外から多くの観光客が訪れます。
国の重要文化財に指定されている不動明王や二童子像を所蔵する大山寺、県の重要無形文化財に指定されている巫女舞や倭舞、約300年の伝統を誇る火祭薪能が行われる大山阿夫利神社など、多彩な歴史文化に恵まれていることも魅力の一つです。
箱根にも車で1時間弱くらいと近いので、日帰りで温泉に行くのも良いですね。
都心にも1時間半もあれば出られますので利便性もあると思います。
適度に自然があって、交通の利便性がある地域は子供を育てるのにとても適した環境だと言えます。
未開発の土地もありますので、もっと活気あふれるエリアになるポテンシャルを持っているのではないでしょうか。
神奈川県のほぼ中心に位置する伊勢原市
私は千葉県出身で神奈川での住まいは横浜なのですが、伊勢原市で仕事をするようになってから、自然豊かな環境やこの土地に暮らす人々の温かさに大きな魅力を感じるようになりました。
伊勢原に暮らす人々もまた、この土地を愛していて「この街をもっと盛り上げていけないか?」と思っている方も多くいます。
しかし、具体的にどんなことをして行けば良いかが分からないという方も少なくありません。
そこで、私は「この街を盛り上げるために、スポーツクラブとしてどんなことが出来るのか?」ということを考えるようになりました。
子供たちの未来のために出来ることとして、環境保全に繋がるようなアイディアを発信したい。
林業が盛んなこの土地ならではの取り組みを活かすことで伊勢原市の認知アップにも繋げたい。
そんな思いから、森林資源を有効活用することの大切さを発信して行こうと思ったのです。
国産木材の活用が『海』を元気にする
森林整備の重要性を知ることで、伊勢原の街をPR出来ないか?
この思いを持ったことは、私が自分でチームを立ち上げる8年程前、湘南ベルマーレのコーチとして地元小学校の巡回授業を行った際、間伐材について考える機会があったことに起因します。
その時に知った、小田原市の『ブリの森づくりプロジェクト』から受けた影響は特に大きいです。
昭和29年ごろの小田原は1年に57万本のブリが水揚げされた、日本一のブリ漁場でした。
それが平成21年頃にはわずか290本にまで減少してしまった。
再びブリが集まる海を取り戻すため、動き出したのが森林を整備するプロジェクトだったのだそうです。
森に人が入り、木を間引くことで地表に光が届くようになると下層植生の回復が期待出来ます。
そして森に綺麗な水が生まれ、川へと流れ、やがて海に届く。
海を綺麗にするにはその根本となる森林を整備することこそが何よりの近道なのだそうです。
人の手で植えられた木は植林時の本数のまま放置してしまうと、いつしか過密な状態になってしまうので、間伐を行うことが必要不可欠です。
間伐が行われず、適切な採光が得られなくなった森では、木々が細長く成長し、風や雪などに対して弱くなってしまいます。
ひ弱になった木々をそのまま放置してしまうと、台風や大雪などによって大量の木々が倒れてしまう恐れもあります。
地面に光が届かない状態が続くと草も生えなくなり、植物の生育に必要不可欠となる表面の土が流亡し、保水力の低下や土砂災害に繋がる危険も出て来るのだそうです。
日本は森林面積が国土面積の約7割を占める、世界でも有数の森林国です。
しかし、近年約50年を超える活用時期を迎えている森林資源が、安価な輸入木材に押され、蓄積されてしまっているという現実があります。
間伐材も含めた国産木材の活用は既に多くの自治体が取り組んでおり、様々な公共施設で国産木材を活用している例も増えています。
伊勢原でもより多くの国産木材を使用する取り組みが出来ないだろうか。
伊勢原市が持つポテンシャルが森を元気にし、それが地球温暖化の緩和に繋がる。
環境保全のことも考えた地域共創と言う考え方を街のサッカークラブとして発信して行けないだろうか?
サッカークラブの活動を通して、日を追うごとに伊勢原の魅力を感じるようになった私は、いつしかそんな思いを持つようになりました。
伊勢原FCフォレストが考える地域共創とは?
『サッカー×森林スタジアム構想』で地元を元気に
ーーー環境保全のことを考えた地域共創。この発想はとても素晴らしいと思います。
具体的なアイディアやイメージする構想などは既にお持ちなのでしょうか?
一場監督
森林資源を有効活用することの重要性をお伝えするため、『サッカー×森林スタジアム構想』と題し、伊勢原駅前に国産の木材を使ったスタジアムを建造するというアイディアを発信しています。
スタジアム建造は2段階で考えており、まずは、伊勢原駅前に少年たちが気軽にサッカーを楽しめる公園、「サッカーのできる森」を完成させることを目指します。
現段階としてあるイメージは、ボールを自由に使うことが出来る広場と人工芝のサッカーピッチが併設されている施設です。
その施設が実現したら、将来的には木造スタジアム「フォレストスタジアム」に改築させたいという夢を持っています。
スタジアムの中には老人ホーム、幼稚園・保育園、商業施設などが入ったら良いなと。
出来たら市民が活用できるような行政コーナーにも入って頂けたらより便利になりますよね。
伊勢原FCフォレストは、2020年11月より地元伊勢原市にあるリフォーム会社、ヤマテック株式会社様とパートナー契約を締結致しました。
ヤマテック様とタッグを組み、子供の輝く笑顔と地域活性化、日本初の国産木材でのスタジアム建設を目指す
発信基地となる取り組みを行っていきます。
森林資源を有効活用することの大切さを発信するとともに、伊勢原市の認知アップと地元企業の活性、教育・スポーツへの貢献を図ります。
またこの計画にご賛同頂ける企業を多数募り、企業相互の活性へ繋げていきたいと考えています。
発信することが実現への第一歩
ーーー環境保全のための活動を通して地域の活性化に繋げるという発想は大きな関心を集めそうですね。
この目標を達成するために一場監督が最も大切だと思うことはなんでしょうか?
一場監督
自分の思いを誰かに向けて発信することだと思います。
夢や目標があっても、それを自分一人の胸にしまっているだけでは何も動き出さないからです。
サッカーというスポーツを通して、私は子供たちに「発信すること」を身に着けて欲しいと思っています。
自分の思っていることを他の誰かと共有することで、協力してくれる仲間と出会えること、夢が夢のままで終わらず、「計画」として動き出し、行動出来るようになること。
このことを体感してもらい、自ら人生を切り拓ける人になってもらいたいです。
私がそう思うようになったのは、大学時代のドイツ留学での経験によるところが大きいです。
ケルン体育大学の留学生としてドイツに滞在中、現地の地域リーグに所属する社会人サッカーチームでプレーしていた私は、ドイツ人が気質として持っている「相手のありのままを尊重し、受け入れる」という考え方を身をもって知りました。
留学当初はドイツ語を上手く話せず、自分の思いを伝えられない、もどかしい日々を送っていました。
日本だとこういう場合、「話せなくて困っているのかな?」と、手を差し伸べてくれる方がいますよね。
しかし、ドイツ人の考え方は全く違います。
「テツは何も話したくない寡黙な人間なのだ。だったらそれを尊重してあげなければ。」
彼らにはこんな風に映ってしまうのです。
サッカーをしている時も例外ではありません。
どんなに良い動きをしても、明らかにパスをもらえる位置に動いても、自分の所には全くボールが来ない…
ある時、とうとう私は感情を爆発させてしまいました。
「どうしてパスしないんだ!」
日本語だったんじゃないかな(笑)とにかく、自分の言いたいことを夢中で叫びました。
しかし、これが良かった。
感情を爆発させたことで自分の考えていることが周囲に伝わり、チームメイトとの間に信頼関係を築くことが出来ました。
思いを発信することはとても大切です。
森林スタジアム構想についても、クラブのホームページなどで発信していたからこそ、賛同して下さる方が見つかり、パートナー契約を結ぶ企業様との出会いにも繋がりました。
中には自分の目標に対し、「何言ってるの?」「そんなこと出来るわけがない」などと否定的な意見を言う人もいるかもしれません。
私はむしろ、その方が良いと考えます。
人に話すことで「だったらどうしたら上手く行くのか?」「この案が出来ないなら、こうしてみたらどうか?」という意見交換の場が生まれます。
活発な議論が生まれることで、「自分だけの夢」から「地域全体の目標」に昇華し、計画として動き始めるのです。
伊勢原FCフォレスト基本情報
2019年創設。
「子どもが自分で考えて行動できるようになるサッカークラブ」として現在、中学生、小学生、幼児の総勢約150名の選手達が活動中。
チームコンセプト
みんなの笑顔が太陽よりも輝き、サッカーを通して、選手・保護者・コーチみんなが木が育つようにグングン成長するチームです。
フォレストが未来のためにできること…日本の国土70%を占める森林を元気にする。それが日本を元気にすることにつながる。
そのために、この伊勢原市に国産木材を使ってスタジアムを作るというアイディアを発信しています。
スタッフ
代表・監督
一場 哲宏
コーチ
影浦 奈津子
山本 英明
元木 幸作
雨貝 芳也
横山 由梨
岸 拓志
最後に
スポーツクラブが地元を元気にしたいという思いで様々な活動をする。
サッカー活動だけに留まらず、林業の活性化や環境問題についての思いを発信している一場監督の発想は子供たちの考える力を伸ばすことにも一役買いそうです。
地元を愛する気持ちが地域共創へと繋がる。
様々な意見を交わすことで街が発展し、人々が活気づく。
このサイクルが日本中に広がったら素敵だなと感じました。
一場監督、貴重なお話を頂き、ありがとうございました。
伊勢原FCフォレストの持つ大きな目標を応援するとともに、選手の皆さんのご活躍、クラブの益々のご発展をお祈りしています!
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