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インハイ出場校から学ぶ㊙熱中症対策&クーリングブレイクの活用法

【2019インハイ写真集】より
矢板中央 vs 札幌第一の一コマ

【目次】
☆ JFAによる熱中症ガイドライン
☆ 全国各地の8月のWBGT値ってどのくらい?
☆ インハイ出場校の熱中症対策あれこれ
☆ 実質4ピリオド制!? クーリングブレイクを上手く活用しよう
☆ 最後に

JFAによる熱中症ガイドライン

熱中症ガイドラインの6つのポイント
・WBGT値を正しく測定する
・日陰をつくる、利用する
・体を冷やす
・こまめな飲水をする
・経口補水液常備しておく
・体ませる、無理させない

(参照:東京都少年サッカー連盟

JFAによる熱中症ガイドラインは以下の通りです。

■WBGT=31℃以上となる時刻に、試合を始めない。(キックオフ時刻を設定しない)
■WBGT=31℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策※1<A>+<B>』を講じた上で、試合日の前日と翌日に試合を行わないスケジュールを組む。
■WBGT=28℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策※1<A>』を講じる。
■WBGT=31℃以上の場合は、試合を中止または延期する。
やむを得ず行う場合は『JFA 熱中症対策※1<A+B >』を講じた上で、[クーリングブレイク※2]を行う。
※中止や延期の判断は、試合前またはハーフタイム時に行うこととし、前後半のプレー中に試合を中止・延期はしない。試合前は大会の主催者または主管者、もしくはその代行者が必要に応じて主審と協議の上で判断し、ハーフタイム時は主審が大会の主催者または主管者、もしくはその代行者と協議の上で判断する。
※大会主催者は、中止や延期となった場合の対策や当該試合の取扱いについて予め規定しておくこと。
■WBGT=28℃以上の場合は、『JFA 熱中症対策※1<A>』を講じた上で、以下の対応を行う。
1・2種…[クーリングブレイク※2] または[飲水タイム]を行う。
また、『JFA 熱中症対策※1<A+B>』を講じた場合は、全ての種別において[クーリングブレイク※2] または[飲水タイム]を推奨することとする。

JFA 熱中症対策※1

<A>
① ベンチを含む十分なスペースにテント等を設置し、日射を遮る。
※全選手/スタッフが同時に入り、かつ氷や飲料等を置けるスペース。
※スタジアム等に備え付けの屋根が透明のベンチは、日射を遮れず風通しも悪いため使用不可。
② ベンチ内でスポーツドリンクが飲める環境を整える。
※天然芝等の上でも、養生やバケツの設置等の対策を講じてスタジアム管理者の了解を得る。
③ 各会場に WBGT計を備える。
④ 審判員や運営スタッフ用、緊急対応用に、氷・スポーツドリンク・経口補水液を十分に準備する。
⑤ 観戦者のために、飲料を購入できる環境(売店や自販機)を整える。
⑥ 熱中症対応が可能な救急病院を準備する。特に夜間は宿直医による対応の可否を確認する。
⑦ [クーリングブレイク※2]または飲水タイムの準備をする。
<B>
⑧ 屋根の無い人工芝ピッチは原則として使用しない。
⑨ 会場に医師、看護師、BLS(一次救命処置)資格保持者のいずれかを常駐させる。
⑩ クーラーがあるロッカールーム、医務室が設備された施設で試合を行う。

クーリングブレイク※2

前後半1回ずつ、それぞれの半分の時間が経過した頃に 3分間の[クーリングブレイク]を設定し、選手と審判員は以下の行動をとる。
① 日影にあるベンチに入り、休む。
② 氷・アイスパック等でカラダ(頸部・脇下・鼠径部)を冷やし、必要に応じて着替えをする。
③ 水だけでなくスポーツドリンク等を飲む。

(参照・引用:JFA

キャプテン翼にも、クーリングブレイクが導入されるようになりました。

全国各地の8月のWBGT値ってどのくらい?

2018年8月1日から31日までの全国10ヶ所(札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・広島・高知・福岡・那覇)の7時から18時までのWBGT値の時間帯平均をグラフ化しました。

全体的に正午から14時がピークとなり、徐々に下降していく傾向にあります。
札幌、仙台、新潟は最も熱くなる時間帯でも28.0℃に達することがなく、比較的過ごしやすい地域といえるのではないでしょうか。特に札幌では、2018年8月にWBGT値が28.0℃を超えたのは2日間の日中の数時間のみでした。8月14日から北海道帯広近郊で開催される第34回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会は、暑さに煩わされることなく試合に臨める可能性が高いです。名古屋や広島もピーク時(11時~14時)を除けば、28℃に達することはないようです。

一方、那覇、福岡、高知、大阪、東京は、多くのサッカーの試合が行われる9時~16時の間は28℃以上になり、厳しい暑さの中で試合を行う場合は、熱中症ガイドラインに沿った対策が必至となっています。また、東京では、東京都少年サッカー連盟が今年から8月の公式戦を全面的に禁止する通達を出しているそうです。

(グラフ作成:ジュニアサッカーNEWS・参照:環境省 熱中症予防情報サイト

インハイ出場校の熱中症対策あれこれ

三重県で行われた2018年度の東海総体(インターハイ)では、仮設テントやミストシャワーの増設をはじめ、凍ったペットボトルやおしぼり等の配付、氷水を入れたバケツの設置、消防隊員の常駐、マイクロバスを休憩室とする等の様々な工夫のほか、クーリングブレイクを設ける暑さ指数の基準をJFAのガイドラインより低く設定(三重大会 28.0℃、宮城大会 29.0℃、広島大会 29.5℃)し、サッカー競技の特性に応じた熱中症予防策が積極的に講じられていたそうです。

それではここで、インターハイで見られた各校の工夫を凝らした熱中症対策をご紹介いたします。

ホース


大津高校では、試合後に翌日の試合に向けて体を冷やすためにホースを使用していました。
水道の状態に合わせて長いものと短いものを使い分けていたそうです。

噴霧器


大会本部側で水のミストとともに風を送る大型扇風機は各校のテントに1台ずつ設置しているものの、風向きなどによってミストがテント内に届かないこともあるため、狙ったところに直接水をかけることのできる噴霧器は多くの学校が使用したそうです。

扇風機


前橋育英高校東福岡高校が使っていたのは小型扇風機。
ですが、多くの学校はタオルで扇いで風を作り出していたそうです。

タオル


立正大淞南高校はタオルを扇ぐためだけでなく、体を冷やすために使用していました。
水が蒸発する際の気化熱を利用して、「面」で上半身全体を冷やすことができるそうです。

ポータブル洗濯機=洗車用タオル+野菜の水切り器

  
前半を終えて汗でぐっしょりと濡れたユニフォームを脱水するために米子北高校が使用していたのは、手動で洗濯や脱水が行えるポータブル洗濯機です。しかし、1台しか用意していなかったため、急遽現地で調達したのが洗車用の吸水タオルと野菜の水切り器でした。吸水タオルである程度水分を吸収した後、野菜の水切り器を使うと思いのほかユニフォームの着心地がよくなるそうです。

ポリバケツ


2019年度の優勝校桐光学園では、試合後のクールダウンのためにポリバケツに水を入れて簡易プールをつくり体を冷やしていたそうです。

皆さんも厳しい暑さの中でも万全の体制で試合に臨めるよう、各校の対策を参考にしてみてくださいね。

(参照:全国高等学校体育連盟サッカーダイジェストNumber Web高校サッカードットコム

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実質4ピリオド制!?
クーリングブレイクを上手く活用しよう

インターハイのレギュレーションは35-10-35の70分間です。クーリングブレイクが試合開始後に3分間実施されると、1試合が15-3-20-10-15-3-20のように4分割されます。さらに飲水タイムも設けられると、クーリングブレイクと飲水タイムにより生じた4分ほどのアディッショナルタイムにより、1試合が6分割されたようになります。

飲水タイムに戦術的指示は禁止されていますが、クーリングブレイクでは許可されていますので、劣勢の時などに戦術の修正点を指示したり、心理的に追い込まれている選手たちを鼓舞することもできます。試合をはじめから4分割したクオーター制と捉えて戦術を練る指導者の方もいらっしゃるそうです。

「鍛えているチームにとっては不利なルール」
大津の平岡和徳総監督は「選手の安全が第一なのは当然で仕方ない」と強調した上で、こう述べた。なぜかといえば、「相手を疲れさせるのもサッカー」(同総監督)だからだ。
「こっちが押し込んで『いけるな!』となったときにブレイクにされてしまう」と平岡総監督は苦笑いを浮かべた一方で、「クーリングブレイクに救われた」と振り返る監督も多かったのが印象的だ。

(引用:Sportiva

クーリングブレイクをうまく活用するチームがある一方、上記のように感じているチームもあるようです。
しかし、プレーする選手たちの安全を第一に考えると、これからの夏場のサッカーはクーリングブレイクを上手に活用することが勝利への近道となるのかもしれません。

(参照:サッカーキング

最後に


各校の工夫を凝らした熱中症対策のご紹介はいかがでしたか?
夏場にサッカーをする皆さんのヒントにしていただければさいわいです。
うちのチームはこんな熱中症対策をしています!クーリングブレイクの時に選手に対してこんな声かけをしています!など暑さ対策に関する情報がございましたらぜひぜひお寄せください。
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    この記事を書いたライター

    JUNIOR SOCCER NEWSWriterRie
    埼玉県出身、静岡市在住。
    2018年2月よりジュニアサッカーNEWSのお仕事を始めました。
    ライター暦2年超えましたが、まだまだひよっこです。

    むか~し、昔はサッカー少女だった時代もありましたが、現在は高校生の息子と中学生の娘の応援専門です。
    (ごくたま~に、4級審判として、子供たちと一緒にグラウンドを走ることもありますが非常にレア?娘の小学生卒業を期に引退しようかと思いましたが継続!)

    読んでくださった方にお役に立てるような記事・コラムを書けるよう、勉強中です。
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