サッカーの練習は、夏場は午前中や午後に固めて行われることが多いため、普段の練習時にお弁当持参とは言われないのが普通です。
ところが、試合の時は別です。通常よりも強度の高い運動を行って消化力が落ちているところに細菌が入ると、通常だったら大丈夫な量でもおなかの調子を崩しかねません。
サッカー少年がお弁当に持っていきやすい食材に増殖しやすい食中毒菌と、その対策をまとめました。食中毒はウイルスによっても起こりますが、ウイルスの増殖による食中毒は主に冬場に起こりますので、ここでは夏に気を付けたいものだけを取り上げます。
前のページ「もしかして熱中症?食中毒?サッカー少年の夏のトラブルを重症化させないための4つの対処」はこちら
対策その1 (*_*; カンピロバクター:肉は必ず加熱
症状
腹痛・下痢に加え、発熱や頭痛、悪寒、筋肉痛が起きやすいため、熱中症と勘違いされることもあります。熱中症にはない「下痢」が目安となります。
1週間程度で自然に治りますが、数週間後にギラン・バレー症候群(顔面神経麻痺、手足の麻痺など)を起こすことで知られています。
対策
内部温度が75℃以上、1分以上の加熱で死滅します。特に鶏肉に多いのですが、鶏肉は内部まで火が通りにくい食材です。十分に加熱しましょう。中の見えないから揚げなどは2度揚げするのがおすすめです。
対策その2 (/_;) 腸炎ビブリオ:夏の弁当に魚介類は入れない
症状
38℃程度の熱、腹痛、下痢、嘔吐が見られます。加熱の十分でない魚をはじめとして、調理道具からの二次感染も多い食中毒菌です。
対策
魚のほか、イカやタコなどにも生息している細菌です。お弁当に入れる場合は、十分加熱するようにしてください。タンパク質が多い魚介類は腐敗しやすいため、夏場のお弁当には避けたほうが良いと思います。サッカーのリュックに入れたままお弁当は放置、というのがほとんどだと思います。黒いリュックの中は温室です。
対策その3 ( ;∀;) サルモネラ菌:卵焼きはしっかり加熱
症状
かなり強い腹痛とともに、40℃を超えることもある急な発熱、嘔吐、下痢(血が混じることもある)に襲われます。食中毒の中で最も程度の強い菌です。
対策
加熱不足の卵、肉、魚に原因があります。卵焼きは中までしっかり焼きましょう。サルモネラ菌が混入する心配のないゆで卵はおすすめです。きちんと手を洗ってから殻を剥くよう注意しましょう。
対策その4 (-“-) 黄色ブドウ球菌:おにぎりはラップで作る
症状
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢が食べてから1~5時間内に起きます。食中毒菌の中では割合早い発症となり、原因も特定されやすいのが特徴です。
対策
サッカー少年が黄色ブドウ球菌で食中毒になる場合、原因のほとんどはおにぎりです。普通に人間の皮膚にいる食中毒菌ですが、食品中に入ると毒素を作り出します。
おにぎりは直接手で触らず、ラップの上にご飯を乗せて作りましょう。今流行の「おにぎらず」も良いです。
小さなお子さんに注意が必要なのは、黄色ブドウ球菌がたくさんいる場所に触らないことです。それは、鼻。鼻水や鼻汁などには黄色ブドウ球菌がたくさん入っているため、鼻を触った手で食材を触るとさらに中毒のリスクが上がります。ご飯を食べる前にはしっかり手洗い(できれば石鹸!)を徹底しましょう。
食中毒と熱中症の見分け方
一番の大きな特徴としては、腹痛と下痢はあるか、ということです。あれば食中毒、なければ熱中症です。
しかし、熱中症でも体の水分代謝が狂うために下痢や腹痛を伴うことがあります。その際は、練習中に発症するのは熱中症、帰宅してから発症するのは食中毒と覚えておいてください。
食中毒菌は、口に入ってそのまま発症することはありません。症状が現れるのが早い黄色ブドウ球菌で発症時期は食後1時間~、ゆっくり出てくるカンピロバクターでは2日~となっています。
食中毒は忘れたころにやってくるので、原因不明の発熱や下痢に悩まないように、夏のお弁当にはくれぐれも気を付けてあげましょう。
では、食中毒の心配の低い夏のお弁当とは?
これだけ食中毒の危険がある中で、どんなお弁当を持たせたらよいのでしょう?
対策その5:弁当箱は殺菌
弁当箱はときどき殺菌しましょう。うすめた塩素系の漂白剤に漬け置きすると殺菌できます。わっぱなど、木製の物には使えませんので注意してください。
お弁当箱の雑菌がたまりやすいのは、パッキンのみぞ。そして、フタのみぞ部分です。注意して洗いましょう。ふたにワサビを少し塗ったり、お弁当箱を薄めた酢でふくのも効果があります。
対策その6:ご飯は酢を入れて炊く
たった小さじ1杯の酢を入れてご飯を炊くだけで、細菌の繁殖を抑える働きがあります。小さじ1杯の目安は、お米3合。実際やってみましたが、ご飯が酢の臭いになることはありません。
おにぎり代わりに巻きずし形式にしているという話もよく聞きます。サッカーのチームによっては、おにぎりには海苔すら要らないというところもあるようなので一概には言えませんが、夏の巻きずしも良いかもしれません。
対策その7:素手で食材に触らない
おにぎりも素手で握ることは、真夏は避けたほうがよいです。おかずを入れるときにも、清潔な菜箸を使ってください。
昨日のおかずを冷蔵庫から出してそのまま入れるのもNGです。一度電子レンジ等で温め、殺菌しましょう。食中毒菌には嫌気性細菌が多く、空気のある所では繁殖できませんが、お皿と密着した部分、具と具の間など空気のないところで雑菌が繁殖している場合があります。
同じ理由で、自家製の冷凍食品を凍ったままの状態でお弁当に入れるのもNGです。
対策その8:水分をできるだけ少なくする
ふたにつく水蒸気、食材から出る水分は雑菌の増殖地です。水分が出るお浸しなどは、かつおぶしをまぶす、カットワカメをまぶす、すりごまをまぶすなどの工夫で水分を吸収することができます。
ごはんを詰めるとき、この季節は内側がなかなか冷めません。お皿の上に広げ、冷ましてから詰めるとふたに水蒸気もつきにくく、雑菌も繁殖しにくいです。
うちわ、扇風機で冷ますのは避けましょう。急激に中と外の温度が変わることで、食感が悪くなります。冷めていないご飯を詰めたお弁当箱を保冷剤と一緒に持っていくのも、中で結露が大量に発生するため、衛生的とは言えません。
対策その9:抗菌グッズを活用しよう
わさびの成分や銀イオンを配合した抗菌シートを使うのも一つの方法です。抗菌シートも大人向けのシンプルなものから、小さい子が喜ぶキャラクターのものもたくさん市販されています。
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最後に
「真夏のお弁当は絶対に使い捨て容器にしている」という話を聞いたことがあります。賢いな~、と思いました。朝入れたお弁当箱、この時期は夜洗うともうすでに怪しいにおいがしますよね…。
私の住んでいる町には包材ショップがあるので、コンビニがお弁当を入れているような弁当容器が結構割安で大量に買えるのです。汁気があるものには弱いという弱点がありますが、汁気は夏のお弁当にはむしろ大敵。この容器を使うと汁気には敏感になるので、返って良いのかもしれません。
皆様の夏の工夫もお聞かせください。この下のコメント欄からお待ちしています。