photo:Phil Roeder
「うちの子、サッカーばっかりなの…」とため息をついている6年生の保護者が、毎年夏過ぎから増えてきます。
秋が過ぎ、冬になると「中学」が目の前にぶら下がってきますし、中学受験を考えている同級生たちが塾通いを頑張っている姿が目につくようになってくるからです。
クラブチームでは、夏が終わると進路のための面談や、説明会が行われるようになり、秋の全日本少年サッカー大会の県大会が終わるころには、クラブチームのセレクションや体験練習会が最盛期を迎えます。
(2022年度の47都道府県セレクション・体験会募集情報まとめはこちら)
一方、公立中学校では夏休みに部活体験会がおこなわれる地域や、入学直前の春休みに体験会が予定されているところもあります。
勉強とサッカー、よく二者択一のような感じで語られていますが、両立は可能です。というより両立してこそ、将来の事を真剣に考える時期が来たときに、子供の選択肢と可能性が拡がるので必要だと思います。
両立を可能にする方法をお話しする前に、お子さんが中学へ行ったらどのような生活になるか、シュミレーションしてみましょう。
中学に入るとこうなる
■クラブチーム
7:00 起床
7:30 出発
8:00 学校到着
15:30 学校終了
16:00 帰宅
16:30 家を出発(軽食持ち)
17:00~17:30 グラウンド到着、準備
18:00~20:30 練習(19:00~21:00の場合も)
21:30 帰宅
22:00 夕食、入浴など
24:00 就寝
■部活
6:30 起床
7:00 出発
7:30~8:15 朝練
15:30 学校終了
16:00 部活開始
18:30 部活終了
19:00 帰宅、夕食
20:00 入浴
22:00 就寝
いかがですか?
もちろん、練習は毎日あるわけではありません。が、これを見ていただくと、時間があまりにもないことがわかっていただけると思います。練習がない日にも自主練をしたり、ランニングをしたりすると、それだけで時間が無くなります。
成長期は、ただでさえ眠いです。体が大きくなる時期にしっかりと寝ておかないと、故障の原因になります。体のことを考えたら、中学生は8時間は絶対眠りたいところです。
「時間がない」ことを知ろう
お気づきと思いますが、この中には、学校以外の勉強時間は入っていません。塾の時間も、入れていません。
塾へ行くなら、19:30~21:00に往復時間がプラスされます。
スポーツを真剣にやろうと思っている中学生は、本当に時間がありません。
「中学に入ったら、時間がない」ということを、お子さんがしっかりわかっておく必要があります。実際、部活を真剣にやったら、帰ってきた時点でへとへとです。宿題をやるので精いっぱいです。
中学に入ると、中間・期末の定期テストがあります。部活は試験期間1週間前から休みになりますが、クラブチームは休みはありません。
保護者の皆様はもうよくわかっていらっしゃると思いますが、中学の試験では一夜漬けがそろそろ効かなくなってきます。
「やらない」時間を決める
ここで、ぜひお子さんと一緒にこのタイムテーブルに
「そのほかのやりたいことをはめてみよう」
ということをやってみてください。やりたいことは、制限しないでくださいね。
ゲームはどこからどこまで?
テレビの時間は?
漫画を読む時間は?
お友達と遊ぶ時間は?
余った時間は何分ですか?
30分もないのではないですか?
0分になったお子さんもいるのでは?
余った時間がお子さんの「勉強可能時間」です。
少なさにため息をつかなくて大丈夫です。この少なさで、テストで確実に点を取るにはどうすればいいか、お子さんに考えさせてください。
答えは、「授業」です。
家でできないなら、授業で目いっぱいの集中力を発揮するしかありません。「時間はない」とお子さんが理解すれば、集中力は今までの比ではありません。授業で理解するしかない、とお子さんが肝に銘じることがまず勉強とサッカーの両立の第一歩です。
「授業だけでわかるわけがない」ですか?
大体1日6時間。これだけの勉強時間が、ジュニア選手に確保されていると考えてください。授業は、なんと1日のうち4分の1を占めています。
めいっぱい頑張ってみてください。ぼーっと授業に参加するより良い結果が、必ず出ますよ!
目標を立てよう
目標がなくて勉強をするのは、実は子どもにはとても難しい話です。
「何のために?」がない場合、勉強はただの苦痛でしかありません。
お子さんの目標を立てるには、夢からの逆算が必要です。行きたい高校を調べてみましょう。
「サッカーで高校に行く」という話は、いったん横に置いておいた方が良いです。サッカーは水物。高校の練習会などが始まる時期に、もし故障をしていたらサッカー推薦は難しくなります。
また、たとえばサッカー推薦で高校に行こうとした場合、「推薦基準」を必ず確認しておくことをおすすめします。「都道府県大会ベスト4以上」などの戦績を条件にしている学校がほとんどだからです。
目標からの逆算をしよう
学力で進学する、ということを大前提にして、どのくらいの学力が必要なのか、伝えておいた方が良いです。小学生にはまだまだイメージしにくいと思いますので、偏差値50を仮にオール3として、偏差値60をオール4、偏差値65以上をオール5として考えてみると小学生にもイメージが付きやすいと思います。
偏差値はインターネット上でも一覧表が発表されています。小学校の評価は、3段階のところがほとんどです。「とてもよい」を5、「できる/良い」を3として考えてみるとイメージしやすいと思います。
見本はこちら【東京都】高校サッカー部情報 偏差値別一覧【公立・私立別】
勉強は、「インパクト×回数」
サッカー少年に時間はありません。
成績も、必要です。
では、勉強法を工夫しましょう。ここでご紹介するのは、一例です。ほかにもたくさんの勉強法があります。
○インパクトで勉強しよう!
時間がないのに、漢字練習や計算ドリルを繰り返すことは、
弱いインパクト×たくさんの回数
をやることです。それは、たくさんの時間を使うことになります。
強いインパクト×少ない回数
でも、覚える効果は同じです。なので、覚えたいこと、理解したいことをどのくらい強いインパクトで頭に叩き込めるか。それが、短時間で勉強するときの勝負となります。
たとえば、漢字。
小さい升目に10回書くのと、A4の紙いっぱいにゆっくりと大きく太い字で1回書くのでは、A4の紙に1回書く方が覚えられるのです。保護者の方もやってみてください。できるだけ難しい感じが良いでしょう。「薔薇、醤油、鬱」など…
できるだけ太いペンで書いてくださいね。筆ペンでも構いません。大きく1回のほうが、記憶できることが実感できると思います。たくさんの科目に応用可能です。
○間違いを「お宝」にしよう!
お子さんが学校から持って帰ってきたテスト、どうしていますか?
取っておいてあるだけ?
捨ててます?
学力を効率よく延ばすには、「間違っている問題をわかるようにすること」です。そのためには、点数のひどいテストほど宝の山です!
間違えた部分だけ、切って取っておきましょう。ノートに張ってもいいです。夏休みや冬休み、あるいは週末など、時間があるときにはそれを解くのです。
自分だけの弱点問題集ができますよ。
このほかにも、たくさんの勉強法の本が出ていると思います。参考書を読むのも良いですが、お子さんに勉強法の本を読ませるのも良い方法です。
次のページでは「勉強とサッカーの両立は可能!Jリーガーはこうしていた」の実例、高校サッカー部顧問の先生のお話、クラブチーム監督のお話等をご紹介します!
相対なら平均も絶対のオール3は平均未満。
これで両立?
記事にするならサッカー推薦時の成績がオール3の方がまだマシ。
事例も地頭が良い人を取り上げただけで参考にもならない。
勉強の紹介例も悪くはないが、あれだとオール3がいい所。
ダラダラと長い文章も×