スポーツ越境 ってなんでしょう?
そして、それはなぜ時々騒がれるのでしょうか?
このシリーズは「スポーツビジネスに興味があるけど、なんだかよくわからないことが多いので簡単に教えて欲しい」という皆様に超ざっくりスポーツビジネス界の話題用語を解説するシリーズです。
藤枝東高校越境問題って何?
超ざっくりな解説
静岡県立の強豪校、藤枝東高校が県外の生徒を受け入れていることがわかった問題です。
藤枝東高校は少なくとも14年以上、県内に住民票がない生徒をサッカー部を中心に受け入れていることが2021年の12月にわかりました。
それの何が問題なの?
県立高校(公立高校)は、県費(県の費用)によって運営されている学校です。私立高校に比べて学費が安く、設備費などもないのは税金によって学校運営がまかなわれているからなのです。
もちろん、高校入試の出願のときは県外だと受験は認められないので、転居の意思を示す書類を提出しなければなりません。でも合格後出す書類は県外の住所になっているのを、学校が黙認していたということが問題になっています。
県外に住民票がある家庭は、県に住民税を納めていません。住民税を納めていないのに利益を受けるということも問題なのですが、今回の問題はそれだけではありません。
その子たち、どこに住んでるの?
県外からの部員は学校近くの元・ビジネスホテルの建物で暮らしています。実質「寮」のような扱いですが、学校が定めた寮ではありません。もちろん、学校も管理していません。
この寮の安全管理は誰がするのか。
事故が起こったら誰の責任になるのか。
それも含めて「無責任なのでは」という世論になっています。
他県はどうしているの?
越境している子がいるかいないかというと、います。
ですが、他県では親元を離れる場合、県内在住の保証人を付ければ大丈夫、学校も寮を準備しているという場合があります。
藤枝東高校にこの制度はありませんでした。
他県で問題が起きたことはある?
あります。
三重県の四中工(四日市中央工業高校)を中心とするスポーツ強豪校5校で2017年に問題になりました。「保護者も県内に居住している」という県教委の規則に反している生徒が少なくとも49名いることが発覚して問題になりました。
三重県には、県立高校入試の出願時に保護者の県内企業の就業証明書などの提出を求めていました。
四中工へ入学する際、県外の生徒の保護者に県内の企業への就職先を紹介していました。
保護者の中には就業証明書を出してもらったのに、三重に転居せず、そのままの住所のまま越境入学させていたケースもあったそうです。
越境問題、これからどうなる?
通学の事情、学科の事情によっては、隣県からの越境を認めている県はあります。
ただ、それが部活動目的で認められている県はありません。
日本で唯一の海洋開発学科を持つ岩手県立種市高校は、全国からの越境が認められています。
そのように部活動が「唯一無二」と扱われて越境を認めるか、それとも従来通り部活動目的の越境が認めないのか、静岡県は今その岐路に立たされているといえるでしょう。
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