2021年1月、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受け再びスポーツ大会の延期や中止が発表されています。
今回の緊急事態宣言はアマチュアスポーツにどんな影響を及ぼすのでしょうか。
緊急事態宣言がアマチュアスポーツにもたらすもの
2021年1月18日、夏の大会に続き「令和2年度全国中学校体育大会冬季大会(スキー・スケート・アイスホッケー)」の開催中止が発表されました。
中止されることが発表された前日の17日まで、秋田県では全国大会の予選を兼ねたスキー競技が行われていました。
全国大会への出場権を勝ち取ったばかりの選手たちが、また目標にしていた夢の舞台を失いました。
子供たちのスポーツ大会が中止になったことで、どのような影響がでているのでしょうか。
スポーツの裾野を支える子供たちに今何が必要なのか考えさせられる記事をご紹介したいと思います。
出場する?出場しない?チームは空中分解寸前
「年末に行われることになっていた試合は全て中止。ですが、年明けの大会は開催が決まりました。子供達だけでなく、親も『最後の大会ができる』と喜んでいたんです」
これは、小学生サッカーチームでの出来事です。
「うちの子供は辞退する」というご意見の保護者の方がいらっしゃったそうです。
今の状況で試合を行うことを不安に思い、こう判断する方がいても当然のことかもしれません。
しかし子を心配する親の気持ちは同じでも、意見の相違から生まれた不協和音は子供たちを対立させてしまったそうです。
「試合に出場する子供たち」と「親の意向で出場を辞退する子供たち」。
練習をしてきた仲間と同じ目標達成を目指して活動が出来ないことで、次第にチームは空中分解寸前になってしまったと言います。
しかし、緊急事態宣言が発令されると6年生最後の大会も中止。
「子供達は直前まで練習を続けていたんです。一方で、中止になったからと言って、はい残念でしたとみんなの仲が戻るわけでもない。すでにチームを辞めてしまった子供もいます。こんなことで、才能を発揮出来ない、生かせない子供達がいるのかと思うと不憫で仕方がない」
引用・参照: Yahoo! JAPANニュース
泣きじゃくり、「もう陸上はやりたくない」
春の大会も最後の夏の大会も全て中止になった中学3年生の陸上選手。
特待生として高校に進学したいと願っていましたが、自分の実力をアピールする場を失ってしまいました。
「娘は泣きじゃくり、もう陸上はやれない、やりたくもないと半ば投げ出してしまったんです。それでも先生方が気をかけてくれて、セレクションや、学校の部活外での大会に呼んで頂いたりしまして……。一応、何校かから声をかけて頂きました」
しかし、目指していた「特待生」ではなく「推薦」という形に娘さんは納得がいかない様子。
大会中止は進路にまで影響を与えてしまいました。
中学生はまだまだ、たくさんのサポートを必要とする年代です。
成長の途中であるアスリートの卵たちにとって大切なものは何か、もっと考える必要がありそうです。
引用・参照: Yahoo! JAPANニュース
今回と前回の緊急事態宣言の違い
今回の緊急事態宣言では、前回の緊急事態宣言と変わったところがあります。
感染リスクの高い場面に効果的な対策を徹底し、飲食を伴うものを中心として対策を講じれば自粛を求められるものではありません。
今回の緊急事態宣言では、施設利用やイベントの開催については次のようになっています。
運動施設と遊技場の利用
- 20時までの営業時間短縮
- 19時までの酒類提供
- 人数上限5,000人、かつ、収容率要件50%以下とすること
イベント開催
- 人数上限5,000人、かつ、収容率要件50%以下とすること
- あわせて、20時までの営業時間短縮の働きかけ
参照:東京都防災ホームページ
前回の緊急事態宣言では、以下のように、慎重な対応を求める内容でした。
イベントの開催
- 特定都道府県は、法第 24 条第 9 項及び法第 45 条第2項に基づき、感染の拡大につながるおそれのある催物(イベント)開催の制限の要請等を行う。
- 全国的かつ大規模な催物等の開催については、リスクへの対応が整わない場合は中止又は延期することを含め、主催者による慎重な対応を求める。
引用:福岡県HP(新型コロナウイルス感染症対策に関する新型インフルエンザ等緊急事態宣言等について)
キーワードは「屋外」?
緊急事態宣言後に行われた成人式の傾向が3パターンあったように思います。
「中止・延期」、「オンライン」そして「屋外」でした。
なぜ室内で行われることが多い成人式を、屋外で開催したのでしょうか?
理由の一つに「室内より外の方が換気がいいのではないか」ということがあったようです。
国の基本的対処方針(令和3年1月7日変更)の三(3)2)にも
【屋内】5000人以下、かつ、収容定員の50%以内の参加人数
【屋外】5000人以下、かつ、人と人との距離を十分確保(できるだけ2m)
また、イベント開催制限の考え方について(内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室)などは、屋内では収容率50%のところ、屋外では「十分な間隔(2m)を空ければ5,000人までなら収容可能」となっています。
「屋内では十分な換気が重要。屋外は通気性から十分な換気のある屋内と同様に扱う。」ともされており、これは4月から現在まで変わっていない様子です。
参照:新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)
実際に、冬に行われた高校スポーツの全国大会で「屋外」で開催された全国高校サッカー選手権や、全国高校ラグビーでは選手やスタッフ、大会関係者がウイルスに感染したという話は報道されていません。
一方で、バスケットボールの全国高校選手権(ウインターカップ)や春高バレーでは大会中に感染者が出るなど大会期間中の感染が疑われる事例が報告されているようです。
もちろん、どの競技も万全の感染対策を講じたうえで開催されたことに違いはないと思います。
しかし選手同士が接触する場面があること、同じボールを使って対戦する競技であることは共通しています。
「屋外」で行う競技は感染リスクが少ないとは考えられないでしょうか。
WITHコロナ時代のアマチュアスポーツ
1月8日にスポーツ庁は「緊急事態宣言下における安全な運動・スポーツの実施について」各都道府県へ通達を出しました。
「屋内で過ごす時間が長くなると、運動不足やストレスから心身に悪影響をきたす健康二次被害の問題が生じる可能性が可能性があります。」
「運動・スポーツを実施することの効用として、身体面においては自己免疫力の向上、生活習慣病等の疾病にかかるリスクの軽減や病状の改善、筋力など体力の維持・向上等が知られており、精神・心理面においてもメンタルヘルスの改善やストレス解消等が挙げられます。」
引用・抜粋:スポーツ庁「緊急事態宣言下における安全な運動・スポーツの実施について」
新型コロナウイルスは子どもから子どもへ感染した事例が極めて少ないこともわかってきてました。
本来、体を動かすべき発育・発達期に運動不足になると、子どものロコモティブシンドローム (運動器症候群)が増えることを懸念する医師もいらっしゃいます。
スポーツイベント・大会の開催は、細心の注意を払ったうえで行われるべきではないでしょうか。
参照:スポーツ庁 Web 広報マガジン DEPORTARE(デポルターレ)
編集後記
様々な感染対策をとりながら大会を開催しようとご苦労されている関係者の皆様も多いと思います。
しかし、緊急事態宣言が出されると様々な大会の中止、延期の文字を目にするようになりました。
安易な「中止」の判断は目標を失ったアスリート達にとって、人生を左右しかねないということも忘れないで欲しいと思います。
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