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【数字を読む】日本で一番チーム月謝が少ない県、一番サッカー指導者が足りない県

JFAが発表しているデータボックスには、日本各地のサッカーチーム事情がどうなっているかを読み解く材料が詰まっています。

今回はそのデータボックスを元に、日本でサッカー指導者をやるならどこの県なら参入がしやすいのか、どの県での就職が大変そうなのかを考えてみたいと思います。

一番高い月謝が見込める県はどこなのか?

サッカー選手登録数をチーム数で割って算定します。
1チーム当たりの人数が多いほど、集める月謝が高額になることが予想されます。
※ほぼボランティアで運営している地域チームも含みますので、一概に人数の多さ=月謝の高さになるわけではありません。あくまで数値上の話であることをご了承ください。

都道府県
1チーム当たりの選手数(人)
1位 東京 41.0
2位 千葉 39.3
3位 愛知 38.2
4位 静岡 35.6
5位 兵庫 34.3
6位 滋賀 33.7
7位 香川 33.5
8位 埼玉 33.4
9位 大阪 32.9
10位 茨城 32.9
11位 熊本 32.7
12位 島根 32.5
13位 山梨 32.4
14位 広島 32.0
15位 京都 31.9
16位 福岡 31.8
17位 石川 31.6
18位 長崎 30.9
19位 栃木 30.5
20位 三重 30.5
21位 佐賀 30.4
22位 奈良 30.3
23位 富山 30.1
24位 山形 29.5
25位 岐阜 29.5
26位 沖縄 29.3
27位 岡山 29.3
28位 愛媛 28.9
29位 福井 28.9
30位 群馬 28.7
31位 山口 28.7
32位 神奈川 28.6
33位 大分 28.5
34位 新潟 28.4
35位 宮城 28.2
36位 秋田 28.0
37位 長野 27.7
38位 宮崎 27.5
39位 福島 27.3
40位 岩手 27.1
41位 青森 27.0
42位 北海道 26.4
43位 鳥取 26.3
44位 和歌山 26.2
45位 徳島 25.6
46位 鹿児島 25.6
47位 高知 25.1

日本で一番の人口集中地域である東京を筆頭に、大都市が生徒を集めやすいという結果になりました。

東京、千葉など人口密度が高い県が生徒を集めやすいだろうというのはみなさまの予想通りかと思われます。この数値に人口密度(人口密度が高いほど、生徒を集めやすくなる)を掛け合わせると、北海道がワーストになります。

だから大都市が安心、ではない理由

では、人数が多い東京都ならチームを立ち上げても「食べていける」のでしょうか。

1チームに指導者が何人いるかということを考えてみましょう。データボックスの「指導者」を「チーム数」で割って計算します。

都道府県
1チーム当たりの指導者数(人)
1位 東京 5.4
2位 千葉 4.7
3位 静岡 4.4
4位 栃木 4.4
5位 島根 3.9
6位 神奈川 3.6
7位 埼玉 3.5
8位 石川 3.2
9位 山梨 3.1
10位 茨城 3.1
11位 鳥取 3.1
12位 富山 3.0
13位 長野 3.0
14位 新潟 2.9
15位 秋田 2.9
16位 愛知 2.8
17位 広島 2.8
18位 滋賀 2.8
19位 青森 2.8
20位 岩手 2.8
21位 兵庫 2.8
22位 群馬 2.7
23位 福島 2.7
24位 岐阜 2.7
25位 香川 2.7
26位 福井 2.6
27位 三重 2.5
28位 山形 2.5
29位 和歌山 2.5
30位 愛媛 2.4
31位 宮城 2.4
32位 山口 2.4
33位 徳島 2.3
34位 大阪 2.3
35位 長崎 2.3
36位 熊本 2.2
37位 岡山 2.1
38位 福岡 1.9
39位 北海道 1.9
40位 佐賀 1.9
41位 大分 1.9
42位 高知 1.8
43位 京都 1.8
44位 鹿児島 1.6
45位 奈良 1.6
46位 宮崎 1.5
47位 沖縄 1.2

1チーム当たりの人数が多い都道府県では、指導者の数も多いという現状が読み取れます。

結局、高額の月謝を取らないと専任の指導者を養えないという状況が生まれます。この結果生じるのが多数の「副業指導者」です。

副業指導者が生まれるわけ

例えば、1チーム当たりの選手数でワーストになっている高知県ですが、高知県の2019年度の月収平均は厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると258,500円となっています。

平均25.1人しか人が集まらない県で258,000円を得ようと思ったら、コーチ1人のチームで月謝が10,000円以上ないと平均的な収入が得られません。

しかし高知の1チーム当たりの指導者数は1.8人。1.8人の指導者を平均月収で雇おうとするのなら、選手1人当たりの月謝は17,928円となります。

トップの東京都はどうでしょうか。

東京都は基本賃金も高いので、賃金平均は380,400円です。平均41人いるチームだと、月謝は9,400円ほどになります。

しかし東京都は1チームに平均5.4人の指導者がいます。指導者を全員専任で平均月収を保証しようとすると、選手1人あたり50,101円の月謝が必要になるのです。

これはグラウンド使用料などの設備費、運営費を除いた額です。これを上回らなければ健全なチーム運営はできません。

しかし、高知で月額17,000円以上、東京で50,000円以上の月謝を設定しているチームはおそらく存在しません。

足りない人員は副業コーチで賄う、あるいは学生アルバイトコーチで賄う。そうしないとチームの運営が成り立つはずがないことがデータから読み取れます。

参照:厚生労働省 賃金構造基本統計調査

日本サッカーの未来は地域チームの収益化にある

副業指導者の方々の努力によって、日本地域サッカーが成り立っていることがわかりました。

では、副業指導者の方々が専任で暮らしていけるようになり、指導の勉強も思い切りできるようになり、仕事で使う知力体力気力を全部指導に注ぎ込んでくれたら、日本の草の根サッカーはどこまで強化できるでしょうか。

草の根サッカーの推進は必ず日本サッカーを高めます。

それを成し遂げるためには、まず「月謝だけに頼る運営」から脱却しなければなりません。チームにお金が集まる仕組みを目指して、収益化への第一歩を踏み出すチームも増えています。

日本サッカーの振興を目指して、アマチュアサッカーの試みは続きます。

収益化に踏み出しているアマチュアサッカーチーム(外部リンクに飛びます)

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